名古屋市上下水道局は11月26日、堀川・新堀川の河川水質改善に向けて、堀川上中流域と新堀川上流域内の下水管の分流化を目指す方針を明らかにした。100年以上の下水道供用実績を持つ三大大都市圏の都心部で、分流式下水道を導入しているのは横浜市の一部などに限られるとみられ、横浜市都心部でもみなとみらい地区といった新たな整備街区で分流式下水道を整備している。長い期間と費用がかかるため、環境改善に資する効果があるのは分かっていても分流化に踏み切れない自治体が多い中、既存市街地中心部の分流化を目指す方針を打ち出した名古屋市の方針は英断といえそうだ。
市会11月定例会で、斉藤たかお議員(自民)の質問に上下水道局の宮村喜明局長が答えた。
堀川は庄内川や名城・露橋水処理センターなどの処理水、新堀川は堀留水処理センターなどの処理水を主な水源としている。雨天時において簡易処理高度化施設や雨水滞水池を整備して合流改善を行っているものの、能力を超える降雨時の際には未処理水が河川に流入するのが現状だ。
都心部のまちづくりに貢献する下水道の分流化の在り方を問われた宮村局長は「非常に長い期間と費用がかかるが、堀川上中流部と新堀川上流部を対象に完全分流化を目指す」と答えた。整備方策としては、最初に両河川沿いに雨水幹線を整備した上で、下流端に貯留管を配置する。雨水幹線と下流端の貯留管整備により、一時貯留できる流量を増やし、晴天時に水処理センターで処理を行い、河川の水質改善に役立てる考え。その後、対象区域の雨水管の面整備を行い、完全分流化を目指す方針だ。
具体的な方策検討は今後、本格化させる。堀川上中流域は、庄内川の元杁樋門〜松重橋、新堀川上流域は、堀留水処理センターから1`程度の区間を想定している。詳細は今後の検討を踏まえて決めていく見込み。
三大都市圏以外で、都心部の下水道分流化に取り組んでいるのは福岡市がある。福岡市の場合は、博多など都心部の約500fが対象。名古屋市の分流化対象区域は、現時点では未定としている。
提供:建通新聞社