富山県建築士会(近江吉郎会長)などの県下建築関係7団体の青年組織は22日、高岡市の高岡工芸高校で、「富山県高校建築志の未来授業2019」を開催した。
この日は、同校建築科と富山工業高校建築工学科の1年生各40名、建築関連団体の青年層80名の総勢160名が集結。生徒に建築士の仕事を伝えるともに、職人の仕事を体験してもらうことで、未来を考えるきっかけ、建築業界の未来へつなげる機会とした。
未来授業は、「将来の富山の建築をより良くしていきたい」との思いでスタート。担い手、職人不足が深刻化する中、建築を志す青年建築志がタッグを組み、未来を担う建築科生徒に技術や知見を伝授することで、建築への興味と関心を持ってもらえる授業を行うのが狙い。昨年、建築士会青年委員会(山崎寛生委員長)の呼び掛けにより、富山工業高校で初めて開かれ、2校合同での開催は今回が初となる。
1限目の授業では、建築士会が建築士の仕事内容、工程表を基に各業種の役割を紹介し、「建築士の仕事は、一つの形に向かいマネジメントすること」と説明した。
続いて開会式が行われ、高岡工芸高校の六家敬吉校長が、「建築のベースは学校で日々勉強できるが、第一線で活躍されている職人の仕事を体験できる機会は基本的にない。貴重な機会を自分の力に変え、今後の学習、進路に役立ててほしい」とあいさつ。
主催者から建築士会の山口孝芳常務理事(会長代理)があいさつし、「皆さんは、いろんな可能性を秘めている。今日の企画を通じて、建築も一つの選択肢になれば幸い。私は建築の築くという字を、気付くと置き換えて考えている。人のことを思いやり、いろんなことに気が付かないと築けない。今日の体験で、皆さんが何か気付くことができれば」と話した。
その後、生徒は6班に分かれ、希望した2つの職種を午前と午後にそれぞれ体験。内容は(1)県建築組合連合会青年部協議会(梧桐秀貴議長)=木小屋組の製作体験(2)県瓦工事業協同組合青年部(須加智幸部長)=瓦葺き体験(3)県板金工業組合青年部(吉岡智佳部長)=寸法取り〜角波貼り体験(4)県左官事業協同組合青年部(松浦哲司部長)=土壁塗り体験(5)県建具協同組合青年部(河島隆志部長)=ミニチュア障子製作(6)県インテリア事業協同組合青年部(沼田秀和部長)=クロス張替え体験―で、生徒はプロの指導を受けながら職人の技を学んだ。
終了後には、各ブースごとに意見交換も行い、交流を深めた。なお、実施に当たっては、とやま住まいとまちづくり推進懇話会の助成を受けた。