川崎市は、等々力緑地再編整備事業の推進に向けた今後の取り組み方針(案)をまとめ、主要施設の整備の方向、配置、整備手順などを定めた「等々力緑地再編整備実施計画」を改定する考えを示した。改定は2021年6月を目指す。東急から受けたPFI提案については、「妥当性は認められるものの、具体的な実現可能性などを判断するためにはさらに検討を深めていく必要がある」と指摘。今後も、民間活力の導入範囲と手法について検討するため、東急と連携・協力していくとした。また、台風19号により等々力緑地内の市民ミュージアムやとどろきアリーナなどが被害を受けたことを踏まえて、防災対策を充実させる必要性があるとした。
今後の取り組み方針として川崎市が掲げたのは、@等々力緑地再編整備実施計画の改定A防災・減災の視点からの再検討B民間活力の導入範囲と手法の検討―の3点。
まず、再編整備実施計画については、社会環境の変化による新たな課題に対応するため、改定に向けた検討を進める。学識者などによる検討体制として「等々力緑地再編整備計画推進委員会」を設置するとともに、再整備の内容や利用方法などを議論を行う場として、「(仮称)関係団体連絡調整会議」を12月に設置する。推進委員会は21年6月まで7回程度開催する予定。
また、自然災害リスクの観点からは台風19号による被害状況や原因などの調査結果を踏まえて、等々力緑地の役割を再検討する。防災・減災の視点からの再検討、大規模施設の再整備、民間収益施設の設置への対応など、さまざまな条件の変化を踏まえて、公園全体のゾーニングを検討し、ゾーニングごとに合わせた公園施設の具体的な検討を進める。
東急のPFI提案については、「等々力緑地再編整備計画推進委員会」の中で、さらなる検証を進める。提案の実現可能性を検証するため、東急と協定を締結し連携協力していく。「今後の取り組み方針」は20年1月に正式策定する。
「等々力緑地再編整備実施計画」は12年3月に策定。この計画に基づき陸上競技場メインスタンドや正面広場などの整備を行ってきており、現在は硬式野球場の整備を実施中。今後も陸上競技場サイド・バックススタンドなどの整備を予定している。
こうした中、都市公園法の改正などを受け、市は公園内施設の一体的な維持管理・利活用に向けて民間活用の手法を検討し、民間事業者からアイデアなどを募るマーケットサウンディング調査を実施。東急はPFI法に基づき、陸上競技場サイド・バックスタンドの全面改築などを複数年のPFI事業として提案した。
提供:建通新聞社