大阪府と大阪市は11月21日、統合型リゾート施設(IR)の事業者選定に向けた実施方針案を公表した。12月中旬にも公募を開始し、2020年6月ごろに事業者を決定するスケジュールだ。事業者は夢洲の土地を借り、10万平方b以上の展示施設を備えた国内最大級のMICE施設などを整備する。21年秋ごろの土地の引き渡し、工事着手が見込まれる。また、注目が集まっていた開業時期については、「25年万博前を目指しつつ、早期開業の効果が実現できるよう公民連携して取り組む」としている。
IRの予定区域は、大阪市此花区にある夢洲の約49万平方b。建設予定地は売却せずに賃貸とし、貸付期間は35年程度とする。事業者への土地の引き渡しは、当初の計画より約半年間前倒しし、21年秋ごろとした。
事業者に求める施設は、▽10万平方b以上の展示施設▽最大6000人以上収容可能な会議室を備えた国際会議場▽3000室以上の宿泊施設▽魅力増進施設▽カジノ施設―など。費用負担については、IR関連費の他、地下鉄延伸費(約200億円)、環境アセスメントの現況調査費(約7200万円)などを事業者側に求める。
大阪府・市では、IR事業者の公募に先立ち、事業コンセプトの提案募集を実施。これには、▽MGMリゾーツ・インターナショナル/オリックス▽ゲンティン・シンガポール・リミテッド▽ギャラクシーエンターテインメント―の3者が提案していた。事業者公募にはコンセプト提案者以外の参加も可能としているが、事実上この3者に絞られると見ている。
府・市は努力目標としながらも、25年大阪・関西万博前の全面開業を目指す。しかし、資材や工事車両の搬入ルートの確保、万博関連工事との調整などの面から、工期の短さが大きな課題となる見込みだ。大阪府の吉村洋文知事は「万博前の全面開業を絶対条件にすることは現実的に難しい。そこはパートナーと調整を図っていきたい」と話した。
提供:建通新聞社