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建設経済新聞社
2019/11/11

【京都】地域創生戦略の中間案まとめ 資料館跡の文化拠点など盛る

 京都府は7日、来年3月の改定を目指し検討を進める地域創生戦略について、検討のたたき台となる中間案を明らかにした。
 地域創生戦略の実施期間は、令和2年度から令和6年度までの5年間。
 中間案では、基本目標1「京都の未来を拓く人をつくり、誰もが活躍できる地域社会をつくる」、基本目標2「地域経済を活性化させ、仕事をつくる」、基本目標3「京都への新しい人の流れをつくる」、基本目標4「新たな時代の流れを力に持続可能で魅力と活力のある地域をつくる」の4つの基本目標に沿って、地域創生の施策を推進する。
 主な施策をみると、○府立山城総合運動公園における通年型アイススケート場の整備○府立施設の充実や広域的利用が見込まれる市町村スポーツ施設の機能高度化の支援○府民が身近に親しめるサイクルネットワークの整備○京都経済センターを核としたオール京都体制での中小企業の成長やスタートアップ企業の育成○多様なニーズに対応したインキュべート施設の供給○高等教育機関や企業との産学公連携による次世代モビリティなどの研究開発・実証実験の促進○「堀川アート&クラフトセンター(仮称)」を活用したクオリティーの高い多様なイベントの展開によるアート&クラフトの創造・発信○丹後織物の展示・紹介及び商談会の創出や、プロダクトマネジャーの育成等を行うために織物関係事業者が目指す「TANGO OPEN CENTER」の整備支援○関西文化学術研究都市における「超快適スマート社会」の実現による持続可能な発展をめざす都市づくり○クラウドサービスを活用した新たなビジネスの創出「MaaS・αプロジェクト」の創設○2025年日本国際博覧会(大阪・関西万博)の開催に合わせた科学や文化学術の体験型イベントの一体的な実施○関西文化学術研究都市の主要駅から二次交通や近隣都市、関西国際空港とを結ぶ公共交通サービスの充実○京都大学附属農場や府立大学附属農場を活用したグリーンイノベーションの創出○南田辺・狛田地区、木津東地区等の早期事業化による研究機関等の立地の推進○民有地の紹介機能の強化や市町村と連携した土地利用計画の見直しによる新たな事業用地の創出○府南部地域でのIoT等の先端技術を活用した物流の効率化・高度化に資する新たな物流産業集積拠点の形成と府北部地域における京都舞鶴港を核とした物流関連企業の誘致促進○中小企業の雇用の安定化に向けた採用力・定着力の向上や就労環境整備、多様な働き方制度の導入促進○建設産業の担い手確保に向けた魅力発信及びICTの活用等による働き方改革の推進○府立大学の教育研究環境の更なる充実・整備○スマートアグリ・イノベーションセンターの設立によるICTやロボット技術を活用したスマートアグリ(宇治茶・京野菜等の栽培システムへの導入等による生産・流通・加工体制の効率化)の構築と普及○丹後とり貝、岩がき等の養殖区域の拡大○農林水産技術センターの機能強化及び農業改良普及センターとの一体的展開やそのための体制づくり○公共建築物をはじめ中高層建築物等へのCLT活用○非住宅向けの建材、木質バイオマスやボイラーの燃料などの木材需要を生み出す施設・産業の誘致促進○適切に管理され循環利用される森林の拡大○森林施業へのICT等の先端技術の活用及び素材生産者等の林業経営帯による施業の集約化の推進○高校生や歴史・建築を学ぶ大学生を対象に、文化財の保存や修理、職人の仕事に興味を持たせる建造物修理現場の見学や職人体験事業の実施○文化財保存・活用促進プロジェクトの創設による文化財の保存と活用の好循環の創出及び専門知識を有した人材養成、文化財の高精細画像化やVR・AR等の利用促進、触れることができるクローン文化財の展示・作成拠点の整備○VR・AR等を活用した地域の文化資源を体験できる文化発信・観光まちづくりの拠点の整備○府立丹後郷土資料館の北部地域の歴史、文化、観光の拠点施設となる博物館を目指したリニューアルの推進○保存・活用価値の高い歴史的資源(伝統的建造物・古民家等)を核とした宿泊施設群の整備○農家民宿の活用等地域資源を活用した多様なMICEを誘致する「ミニMICE誘致促進プロジェクト」の推進○府立京都スタジアムを中北部地域における交流と観光のゲートウェイとする取組の推進○高級ホテル、オーベルジュ、古民家等歴史的資源を活用した宿泊施設など、地域の状況に応じた立地の促進及び既存施設の改修支援○関西地域の交通の拠点と、府域の主要な観光地とを結ぶ交通基盤の整備等○国内外から全ての観光客が安心して快適に滞在でき、高い満足度が得られるユニバーサルデザインに対応した環境整備○サイクルツーリズムの普及促進○移住希望者の「住」への不安の解消と地元金融機関などと連携した府内産木材を活用した住まいづくりなどによる更なる移住者の拡大○新名神高速道路の令和5年度全線開通に向けた整備促進と、山陰近畿自動車道の兵庫県境までのルート選定等、ミッシングリンクの解消の推進○京都縦貫自動車道、京奈和自動車道、舞鶴若狭自動車道の暫定2車線区間の4車線化整備の促進○京都縦貫自動車道のNEXCO西日本による効率的な一体管理への移行等○広域的な連携を支援する道路の整備促進と災害時のネットワーク代替機能の強化○取扱貨物量の増加や航路の拡充を見据えた舞鶴国際ふ頭の整備やクルーズ船寄港回数の増加、大型クルーズ船の寄港に対応できる第2ふ頭の岸壁整備の推進○京都舞鶴港から高速道路へのアクセス機能強化のため、国道27号(西舞鶴道路)、臨港道路上安久線等の道路整備の促進○前島ふ頭の整備や日韓露国際フェリー航路の利用拡大の推進による航路の直行化○携帯電話の次世代通信規格5Gへの基地局の移行促進○自動運転による新たな移動ツールの導入○防災、農業、インフラ管理等の様々な分野でのIoT活用拡大に不可欠な5GやLPWAのネットワーク整備の促進○橋梁、トンネル、河川護岸・堤防等の計画的な点検、記録、補修工事等の実施と、施設情報を一元管理するデータベースの構築等によるメンテナンスサイクルの確立○大学や研究機関と連携した画像計測や非破壊検査等の新技術を活用したモニタリング及びセンシングによる効率的なインフラメンテナンスの取組の推進○早期の補修が必要と判断された施設の優先的な補修実施と各インフラ施設の点検結果に基づく補修工事の推進○府民協働型インフラ保全事業による府民参加でのきめ細やかな対策の推進○京都技術サポートセンターと連携した市町村公共施設を含めた点検、補修等のインフラ長寿命化対策及び人材育成等の推進○リニア中央新幹線(名古屋〜大阪間)、北陸新幹線(敦賀〜大阪間)の整備促進○JR奈良線高速化・複線化第二期事業の令和4年度開業を目標とした促進○JR奈良線、山陰本線の全線複線化の推進と利用促進○JR片町線の高速化・複線化、関西本線の利便性向上等、関西文化学術研究都市を中心とした南部地域の鉄道ネットワークの充実強化○京都丹後鉄道の防災・長寿命化対策の推進による輸送の安全性の向上○「MaaS・αプロジェクト」の創設によるMaaSなど新たなモビリティサービスの導入による利用者ニーズに即したシームレスな移動の創出と持続可能な地域交通の確立○各地域の幹線道路の整備促進○鉄道駅のユニバーサルデザイン化の推進○高速道路のインターチェンジ周辺で土地区画整理事業によるまちづくりの促進と関連する都市計画道路の整備推進○市町村の立地適正化計画の策定支援○市街化調整区域における定住促進や雇用創出等に資するための地区計画策定などによる市町村と連携した地域特性を生かしたまちづくりの推進○府営住宅の建替の推進○府立公園や国営淀川河川公園の整備促進○ユニバーサルデザインによるまちづくりの推進○国や市町村と連携した総合的な治水対策及び砂防・急傾斜地における土砂災害対策等の推進○道路・鉄道等のインフラ、公共施設、建築物等の耐震化、避難体制や備蓄などの地震対策の推進○府・市町村の危機管理体制の充実による災害発生時の対応力及び災害から立ち直れる力の強化○上下水道事業の安定的・持続的な事業運営の推進○再生可能エネルギーの活用による府内のエネルギー自給率の向上やエネルギーの地産地消の推進○AIやIoT、ロボット技術などの活用による廃棄物の発生抑制、再使用の取組の強化と再生利用の推進−など。
 海の京都、森の京都、お茶の京都、竹の里・乙訓のもうひとつの京都の推進では、新たな保津川下りコースの船着場の整備などを盛り込んだ。
 5つのエリア構想として、@北部グローカル構想[京都舞鶴港を拠点に海外(グローバル)に開かれた交流と、誇れるふるさと、住み続けられる地域づくり、若者が戻ってくる地域づくり(ローカル)をコンセプトとした構想](○AI、IoT等新技術による魅力ある職住一体型生活圏の構築○ヘリ&クルーズ等観光をベースとした職住一体型生活圏の拠点づくり○キャッシュレスモデルエリアの創設)A京都スタジアムを中核とするスポーツ&ウェルネス構想[府立京都スタジアムを核に地域の医療系大学や総合型地域スポーツクラブと連携し、アスリートスポーツから府民・健康スポーツやウェルネス運動まで、元気あふれる交流の構想](○トップアスリートの育成とスポーツのメッカづくり○スポーツ、食や癒しによる健康づくりの先進モデル地域づくり)B北山「文化と憩い」の交流構想[旧総合資料館跡地等の活用に向け、京都学・歴彩館や府立植物園、京都コンサートホールなど京都が誇る文化の集積を生かすとともに、MICE機能の充実にとって府民の広域的な交流を促進する構想](○旧総合資料館跡地活用に伴う新たな文化芸術・交流発信拠点づくり○アリーナの整備検討)C新名神を活かす「高次人流・物流」構想[新名神高速道路の全線開通という新国土軸形成を生かし、西日本最大級のアウトレットモールや次世代物流拠点の誘致など、人流・物流を核とした構想](○西日本最大級のアウトレットモールの誘致○次世代型物流拠点の誘致○新たな産業エリアやインランドデポ(内陸型保税倉庫)の創設)Dスマートけいはんな広域連携構想[MaaSを中心に超スマート社会を先取りする次世代型の取組に加え、相楽東部をゆとりの生活空間・癒し空間としてエリアに取りこむ構想](○新交通システム等、MaaSのレベル4(交通サービスの統合が進んだ状態の最高レベル)の実現や、エネルギーの効率利用、農業のICT化の推進○グレーターけいはんな・相楽東部地域への展開)を盛り込んだ。
 重要業績評価指標(KPI)の主なものは、▽介護老人福祉施設・老人保健施設の入所定員総数=2万1300人(令和2年度)▽ワーク・ライフ・バランス認証企業数(累計)=650社(令和5年)▽事業承継診断数(累計)=5560件(令和5年)▽府内への企業立地件数(製造業、電気業、ガス業、熱供給事業)(累計)=100件(令和5年)▽京都府域の観光入込客数=4560万人(令和5年)▽京都府域の外国人宿泊者数=35万2000人(令和5年)▽府域における鉄道(JR在来線)の複線延長(累計)=94・6q(令和5年度)−など。