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北陸工業新聞社
2019/11/11

【石川】日本ERI創立20周年記念対談/照田繁隆氏(石川県建築士会会長)/対談/地井和裕氏(日本ERI金沢支店長)/「北陸により良い建築文化を醸成」/民間初の大臣指定確認検査機関の役割/地井氏「信頼高め、愛される存在目指す」/照田氏「設計者と一緒にまちづくり貢献」 

〈日本ERIが創立20周年を迎え、金沢支店も開設から14年を経過した。この間、建築確認業務における公的機関とのバランス、棲み分けは〉

 地井氏「ERI金沢支店では、木造戸建住宅などの北陸でのシェアは1割程度、それ以外の建築物は、石川で6割、福井で4割、富山で3割ぐらいの申請を頂いています。当社以外の申請は、県や市の特定行政庁や建築住宅センターが広くカバーしており、互いのシェアはほぼ安定状況になっています。特定行政庁などの公的機関に比べ、ERIの確認手数料は高いものの、独自サービスとして、事前協議をはじめ、郵送や宅配、他県の物件にも対応できるなど、利便性や満足度を高めています」
 照田氏「確認検査業務が民間に開放されてから20年になります。この間に多くの民間機関が開設され、社会的に一定の評価を得るまでに成長して来ました。従来公的機関が行っていた役割すべてを引き継ぐことは難しいかもしれませんが、建築文化やまちづくりの推進などに関しても重要な課題ととらえて、地域の行政と連携しながら業務を行うことが大切だと思います」

〈建築基準法や省エネ法など目まぐるしく変わる法改正への対応はもちろん、良質な建築の普及啓発に向けた顧客サービス、満足度の向上をどう捉えていくのか〉

 地井氏「法改正では規制緩和と複雑化の両面があり、より親切、丁寧にスピード感を持って対応します。電子化も進む中、審査体制を強化し、案内やセミナーにも力を入れていきたい。金沢支店も開設から15年目に入り、当初6人でスタートしたスタッフも現在、37人になり、顧客ニーズは依然として高く、社員のモチベーションを高めながら、楽しく仕事ができる環境で顧客満足度を更に向上させるよう努めていきます」
 照田氏「建築士の立場から申し上げると、設計者はより質の高い建築作品を求めて設計しており、時に法令の規定にそぐわない場合もあります。このような時に設計の趣旨に沿った、かつ効率的な解決法を提案していただけるなど、法規のプロとしての姿勢と力量が求められると思います」

〈建築士に限らず、今、社会全体、あらゆる業種で担い手不足が深刻になっている。そうした中で今後の人材確保・育成は大きな課題だが〉

 地井氏「これは当社だけの問題ではありません。ERI発足当初は即戦力として有資格者の採用を先行し、ほとんどの職員が途中採用でした。最近は新規学卒者も採用していますが、資格取得や即戦力までには時間もかかります。幸い、当社には関連会社であるERIアカデミーがあり、研修を通じて勉強できる環境が整っており、将来を担う人材も育成しています」
 照田氏「確かに、これは建築にかかわる業界全体の課題でしょうね。今回の建築士法の改正で、建築士試験の受験要件が大きく変わりました。これは将来を見越して、建築士不足を解消しようという事でしょう。地域の建築文化の継承、発展のためにも優秀な建築士が求められています。建築士会では、まちづくり委員会や青年、女性委員会などの活動の中で次世代を担う技術者が育っています」
〈民間確認検査機関として、地球環境問題といった様々な課題に対応した地域の建築文化をどう醸成し、これからの北陸のまちづくりに寄与していくのか〉

 地井氏「省エネ法に基づく審査対象の拡大も予定されており、建築にかかる申請は多岐に渡り課題も多いが、金沢支店としては、▽正確▽スピード▽親切―の3S対応を掲げ、社員一丸となり、確認検査機関としての信頼性を高め、地域に愛される存在を目指し、地域貢献にも寄与して参りたい。皆さんの相談をお待ちしています」
 照田氏「確認業務は、単に条文化された全国一律の法規制を当てはめるのではなく、設計者と一緒になってより良い建築を創る、まちづくりに貢献する、という姿勢があってはじめて設計者との対話が成り立つのではないでしょうか。この思いを常に念頭におきながら業務にあたっていただき、今後とも地域の建築をサポートする存在として、北陸の地に住む人々や建築士の期待に応えていただきたいと思います」

 民間初の大臣指定確認検査機関として、1999年に設立された日本ERI(東京)は11月11日、創立20周年を迎える。阪神・淡路大震災を契機に、民間にも委ねられることになった建築確認。同社金沢支店も2005年の開設から14年を経過し、着実に北陸での地歩を固めている。今回、日本ERI金沢支店の地井和裕支店長が石川県建築士会の照田繁隆会長を迎え、民間確認検査機関の果たす役割と地域貢献、北陸の建築文化のあり方などを語り合った。県政記念しいのき迎賓館で。

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