香川県広域水道企業団は11月5日、2020年度からの入札契約制度の統一概要を明らかにした。同日付で同企業団ホームページに、企業団事務所の5ブロック統括センターへの移行と広域送水管理センター(府中事務所から名称変更)、県広域水道企業団における総合評価方式の取り組みと、全面的な電子入札への移行なども併せて公開した。2018年4月から水道事業を開始した県広域水道企業団は、18・19年度の2年間は企業団本部・府中事務所は「県の入札契約制度」、府中を除く16企業団事務所は各事務所所在の「市町の入札契約制度」で運用している。これを20年4月から県の制度を基本に地域経済への影響や各事務所の現状などを考慮し、地元事業者の育成と受注機会の確保の観点を踏まえ、入札契約制度を統一する。
●企業団統一名簿に
入札参加資格者名簿の取り扱いでこれまでは、企業団本部事務所と府中事務所発注の工事・コンサルタント案件は18年度に企業団で受け付けた「19・20年度企業団名簿」を適用。府中事務所以外の16事務所発注案件は、同年度の「市町名簿」を基礎に、企業団事務所名簿を適用している。
20年度からは17名簿を統一し現在の企業団本部・府中事務所名簿を企業団統一名簿として、企業団発注の全工事・コンサル案件で適用する。このため、各事務所名簿のみに登載している事業者は、企業団統一名簿に登載しなければ、企業団の入札に参加できないため、企業団では追加受付での申請を呼び掛ける。20年度の入札参加資格審査申請(追加受付)は11月11日頃に企業団ホームページに申請要領を掲載する予定。
●平均完工高、ランク別発注標準の経過措置
入札参加資格申請では平均完工高要件も緩和。例えば土木一式、建築一式、電気、管、舗装、水道施設で経営事項審査で平均完工高が19年度は「500万円以上」を、20年度は「0円超」に見直す。
ランク別発注金額の発注標準でも、水道施設工事は統一後の20〜22年度の3年間は各ランク(A〜C)が重複する金額帯を残す経過措置を講じ、23年度から各ランクの重複は残しつつ、B、Cランク金額帯の上限額を引き下げ、適切な時期に一つの設計金額に対し該当ランクが一つとなるように修正する。激変緩和措置で市町の発注規模に対応した格好だ。
●一般競争入札の統一導入
企業団では競争性、公平性の観点から建設工事の入札について20年度から統一的に、「かがわ電子入札システム」を活用した総合評価方式による一般競争入札を導入する。
入札形式は入札参加資格の確認を開札後に落札候補者から順に行う、「入札後審査型」。ダンピング対策は低入札価格調査制度を採用する。
一般競争入札が適用される工種は▽土木、建築各一式―設計金額3000万円以上(工事内容に応じ、設計金額700万円以上3000万円未満)▽水道施設・その他―同1500万円以上(工事内容に応じ700万円以上1500万円未満)。
企業団本部は全ての金額帯で広域水道施設整備工事を一般競争・指名競争・随意契約で発注。経年施設更新工事等で5000万円以上は一般競争入札となる。
ブロック統括センターと広域送水管理センターは5000万円未満の経年施設更新工事等を一般競争・指名競争・随意契約で発注する。
●総合評価方式運用
総合評価方式は一般競争入札の工事では全て適用し、水道施設工事は1500万円以上の工事が対象になる。価格と価格以外の要素で技術提案と入札参加者の施工能力等(過去の工事成績評定点、地域精通度、災害時の活動委体制等)を評価する。
同業種工事の工事成績評定点は、18年度以降、企業団で発注し18年4月1日から19年12月31日までの1年9カ月に完成した工事の平均点とする。このため、配点は当面「35点」から「10点」に縮小。工事成績評定点80点以上は「満点10点」、1点刻みで71点未満(0点)まで配点するなどで対応。21年度以降に実績数の蓄積状況を考慮しつつ、21年度は「20点」、22年度は現行の「35点」に戻す方向で検討する。
また、20年度は現在、本部、府中事務所で運用している制度から地域精通度(営業拠点)と同(近隣での施工実績)の評価区域を現行の香川県土木事務所管内から20年度に発足する企業団ブロック統括センター管内で評価し、地元事業者をより手厚く評価する制度に変更する。
一方で「香川県優良建設工事表彰」と「夜間な等に緊急対応を行う維持修繕工事の受注実績」項目を総合評価方式から削除する。
●電子入札その他
予定価格は随意契約を除き全ての工事で事前公表。工事費内訳書の提出の義務付けや、元請け業者と全ての下請負人を含めた社会保険等加入業者に企業団発注工事の受注を限定する。
20年度から本部、各ブロック統括センターと広域送水管理センターの全ての建設工事と設計コンサル委託について「かがわ電子入札システム」により電子入札で発注する。
19年度は企業団の坂出・さぬき・三木・綾川・多度津・観音寺・東かがわ・宇多津・琴平・まんのうの各事務所で紙入札で運用されているが、20年度からブロック統括センターで電子入札対応になる。
提供:建通新聞社