京都府は、新規着手予定の道路整備事業1件の事前評価、道路整備事業1件の再評価、道路整備事業1件の事後評価を行うため、令和元年度第1回京都府公共事業評価に係る第三者委員会を11月18日に開き、意見聴取する。
国道429号榎峠バイパス
事業費は約42・7億円見込む 事前評価の国道429号(榎峠バイパス)道路整備事業は、バイパス道路の整備により、道路線形の改良及び道路幅員の拡幅を行うことで安全かつ快適な道路交通を確保するもの。
事業区間の現道は、一部カーブの部分的な拡幅を除いて、ほとんどの区間で道路幅員が5・5m以下となっており、そのうち最小箇所の幅員は約3・0mで十分な幅員が確保されておらず、大型車の通行はもとより、普通自動車も離合が困難な状況。また、つづら折れになった峠道は急カーブが連続し、最小曲線半径は約6・0mで、見通しが悪く走行性も悪いことから、地域住民の日常的な交通に支障が生じている。特に冬期には積雪や凍結の影響により危険な通行を余儀なくされている。
ルートについては、京都府・兵庫県が共同で計画し検討した結果、兵庫県側整備済み区間を有効利用し、トンネル延長を短くするルートを採用する方針。
事業箇所は兵庫県丹波市青垣町中佐治〜京都府福知山市談。延長は2400m(うち京都府域1090m)。幅員は7・5m(トンネル部7・0m)の2車線。土工部が幅員7・5m(3・0m×2車線、路肩0・75m×両側)、トンネル部が幅員7・0m(3・0m×2車線、路肩0・50m×両側)+監査歩廊0・75m×両側。
計画交通量は1万3000台/日(令和12年予測交通量)。道路の区分は第3種第3級。
緑豊かな山間部を通過するため、トンネル計画など地形改変を最小限に抑える工法の採用や在来種による法面緑化等により自然環境の保全に努める。
榎峠は中央分水嶺に当たることから、分水嶺直下でトンネルの勾配を折り、水量の変化に対する両水系への影響を最小限にとどめるよう配慮。兵庫県側には絶滅危惧種の生息が確認されているエリアがあり、これを避けるルートを選定する。
事業箇所は、福知山市景観計画において自然景観保全ゾーンの農山村・山並み景観保全地区に該当しており、ルート選定では集落から離れた位置にトンネル坑口を設け、農山村の景観等里山の保全に配慮する。兵庫県側の集落付近には埋蔵文化財が確認されているため、影響のないルートを検討し配慮する。
工事実施の際には、低騒音・低振動の機械を採用。トンネル残土の有効利用のため、トンネル掘進は両方向から行うことを想定し、起終点付近の土工部の施工を円滑に行う。
全体事業費は約42億7000万円を見込む。総便益(B)は46億7000万円、総費用(C)は34億9000万円、費用便益比(B/C)は1・3と算出した。
事業期間は令和2年度〜令和8年度の7年間を想定する。
なお榎峠バイパスを巡っては、中丹西土木事務所が国道429号道路企画調査業務として、これまでにまとめた道路概略設計を踏まえ、延長2450m(幅員6m〜7・5m)の道路予備設計(バイパス計画)を作成する業務を平成31年2月に指名競争入札でオリエンタルコンサルタンツに委託した。
また国道429号道路企画調査業務として、榎峠バイパス(福知山市談〜兵庫県丹波市青垣町中佐治)の新規事業着手に向け、事前評価に必要な当該路線の将来交通量の推計と費用便益分析を行う業務をセントラルコンサルタント京都営業所(京都市南区)と平成31年3月に随意契約した。
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国道178号木津道路
令和5年度の開通目指す
再評価の一般国道178号(木津道路)道路整備事業は、人家や旅館、ホテルが連なる現道の箇所において幅員狭小、線形不良の部分があり、交通のネックとなっていることから、道路拡幅及びバイパス整備により自動車交通の円滑化を図り、観光産業等の地域産業の発展を支援するのが目的。
事業箇所は京丹後市網野町木津〜同市久美浜町平田。延長は3200m(現道拡幅1200m、バイパス2000m)、幅員は6・5m(10・5m)。標準断面図によると、幅員10・5mの内訳は、3・25m×2車線、路肩0・75m×両側、片側歩道2・50m。
全体事業費は約18億2000万円(うち用地費は4億3000万円で進捗率100%)。令和元年度末までの投資事業費見込みは11億7000万円(進捗率64%)。
総便益(B)は35億1000万円、総費用(C)は27億1000万円、費用便益比(B/C)は1・3と算出した。
計画交通量は4300台/日(令和12年予測交通量)。道路の区分は第3種第2級。
平成15年度から1工区の現道拡幅部の測量・設計、用地・補償を開始し、部分供用を行うなどし、その後、2工区のバイパス部の築造工事も進めたが、平成22年度に事業休止となった。平成26年度に事業を再開し、これまで築造工事などを進めている。
事業進捗の見込みによると、一時事業休止していたことや、用地買収地で灌漑用水(パイプライン)を利用した営農がされており、用水設備の移設時期の調整に時間を要したことから事業期間が長期化しているが、事業再開後、用地補償を進め概ね買収が完了したこと、大規模構造物もないことなどから、令和5年度の開通に向け、引き続き事業進捗を図る考え。
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このほか、国道178号(蒲入バイパス)道路整備事業について、事後評価を行う。