東京都住宅政策本部は「マンションの管理の適正化に関する指針」を策定した。3月に施行した「東京におけるマンションの適正な管理の促進に関する条例」に基づき、マンション管理の主体である管理組合が取り組むべき事項や留意事項などをまとめたもので、運営体制の整備や管理規約の作成、計画的な積み立てと修繕の実施、長期修繕計画の作成などが必要であることを記載している。望ましい取り組みとして、外部専門家の活用や、マンション再生に向けた意識啓発・体制整備なども掲げた。
同条例は@都や管理組合、事業者などの責務の明確化A管理組合による管理状況の届け出(管理状況届出制度)B管理状況に応じた助言・支援などの実施―を柱に構成。このうち管理組合については、「マンションの管理の主体として、法令等の定めに基づきマンションを適正に管理するとともに、マンションの社会的機能の向上に向けて取り組むよう努める」ことを責務として定め、留意すべき事項として▽管理組合の運営体制の整備▽管理規約の設定▽総会の開催など▽管理費と修繕積立金の額の設定など▽修繕の計画的な実施▽適正な管理の推進―を挙げている。
今回策定した指針は、マンション管理士やマンション管理業者、マンション分譲事業者などの協力と、行政の支援の活用を前提に、この留意事項について明確化し、管理組合の取り組みを円滑・着実に進められるように策定した。
管理不全を予防するための必須事項として、管理組合の運営は区分所有者らの合意に基づいて行うことが必要であることや、居住実態や社会環境の変化に応じて管理規約を制定・改正すること、少なくとも年1回の総会と2カ月に1回の理事会を開くことを明記。管理と維持保全の実態に応じて管理費・修繕積立金の額を定めることや、計画的な修繕工事を円滑に実施するため、マンションの実情に応じて専門委員会の設置することなども明確化した。
また、適正な管理を行う上で重要な項目として、建物・設備の実態に即した長期修繕計画を作成し定期的に見直しを行うことや、区分所有者等名簿を常備するとともに最新の情報に更新すること、耐震化対策の計画的な実施に向けて専門委員会の設置や専門家の活用など検討体制を確保することを掲げた。
さらに、マンションの社会的機能を向上させる取り組みとして、火災・地震・風水害などに備えた防災マニュアルの作成や防災訓練の実施、居住者間のコミュニティー形成や地域コミュニティーとの連携が望ましいとしている。
提供:建通新聞社