建築板金のタケノ(野々市市)に勤務し、同社の竹野一茂社長の妹で「内外装板金」の一級技能士を目指していた山田千晶さんがこのほど、見事に合格した。女性としては県内初の快挙で、全国的にも珍しい。喜びの声を聞いた。
実技試験は7月に行われ、10月初めに合格発表があった。昨年、学科試験には合格していたが、実技試験は一歩及ばず、涙を呑んだ。「初挑戦の前回は、完成させることすらできず、合格レベルには達していませんでした。今回は覚悟を決めてがんばりました」と振り返る。2児の母として主婦業もあるが、「子どもたちも手がかからなくなり、試験勉強に専念できました。5カ年計画ぐらいでないと無理かなと弱気になったこともありましたが、多くの人から祝福され、本当にうれしいです」とはにかむ。
今年は白山比め神社の神門屋根葺替工事に携わったほか、現在、金沢城公園鼠多門復元でも腕を奮う機会に恵まれ、モチベーションは高まる。白山比め神社神門屋根葺替では、「銅板は傷や汚れが付きやすく、慎重な作業が求められ、まだまだ勉強が足りないと痛感しました」と述べ、鼠多門復元では「私以外にも左官や板金で女性職人がいて、とても励みになります。年末まで難しい仕事が続きますが、精一杯がんばろうと思います」と意気込みをみせる。
内外装板金で一級技能士を取得した今、職人としての次の夢はどう描くのか。「ここまでやってきたからには、基幹技能者を目指したい。金沢職人大学校にも行きたい」とさらなる目標を設定する。建築板金の魅力には、「筋肉痛になることもありますが、一生ものの仕事です。本当に面白く、奥が深い。完成した時の達成感は、何物にも代え難い大きな喜びです」と頼もしい。
文化女子大(現文化学園大)造形学部卒。金沢市在住。