文化と心のランドマークに―。名古屋市が建て替えを計画している新市民会館について、基本構想のたたき台となる「新たな劇場」の方向性がまとまった。新たな名古屋市民会館に期待される役割や必要な規模・機能について話し合う、有識者らによる「市民会館の整備検討懇談会(座長=黒田達朗・椙山女学園大学教授)」のこれまでの会合(第1、2回)での議論を踏まえ、同市がまとめた。10月29日に開いた第3回会合では、ソフト面のコンセプトなどを整理。12月16日に第4回会合を開催し、必要な施設規模などハード面の方向性を示す予定だ。
たたき台によると「新たな劇場」の方向性は、文化芸術の裾野拡大(劇場文化の浸透)をミッションとし、国内外から注目され、市民の誇りと親しみを呼び起こす劇場となるため、「人々が楽しみ、引き込まれ、感化される文化の香り高い名古屋の心つながる象徴拠点」とするコンセプトを打ち出した。
求められる役割には、▽ポップからハイカルチャーまでを上演する▽名古屋発/初文化の中核となる▽人と文化の交流結節点として魅力的な空間や機会を提供する―などまちづくりの視点を盛り込んだ形だ。
既存の市民会館の規模は鉄骨鉄筋コンクリート造地下2階地上6階建て延べ2万8245平方b。フォレストホール(大ホール、2291席)とビレッジホール(中ホール、1146席)をはじめ、リハーサル室、会議室などを備える。所在地は中区金山1ノ5ノ1。
新たな市民会館整備の検討に当たっては、整備検討懇談会を設置。これまでの会合で、建て替えを前提として意見を交換していく方針を示している。今後は、本年度中に市民会館の在り方や将来像、規模、機能の方向性を固め、2020年度に基本構想を策定・公表する。基本方針案(たたき台)の調査はシアターワークショップ(東京都渋谷区)が担当し、20年2月28日の納期で作業を進めている。
会合にオブザーバーとして出席した名古屋市の竹田志津代住宅都市整備部長は、「リニア開業に伴う名古屋駅のスーパーターミナル化などを踏まえ、市民会館を含めた金山地区のまちづくりを、市内だけでなく、中部圏内まで視野を広げて考えいくことが必要になる」とした。
名古屋市の上田剛文化振興室長は「必ずしも現地で建て替えると決めているわけではない。金山のまちづくりと一体となって最適な施設計画を固めていきたい」と述べた。
提供:建通新聞社