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北陸工業新聞社
2019/10/30

【富山】建設業への疑問、不安聞く/女子大生と女性技術者が座談会/県建設業協会/「女性こそ適任」(射水建設興業の金塚氏) 

 富山県建設業協会は28日、富山県立大学の女子学生と女性技術者との座談会を、富山市のとやま自遊館で開催した。
 学生が日ごろ抱いている建設業への疑問や不安などを、第一線で活躍する女性技術者から直接意見を聞くとともに、参加者同士の交流を深めることで、建設業への入職・定着を図る目的で開いた。「もっと女性が活躍できる建設業支援事業」として、県から受託し実施したもの。
 この日は、環境・社会基盤工学科1〜3年生の女子学生32名のほか、手計太一准教授と呉修一准教授、兵動太一講師、県内建設企業の女性技術者から、(1)今井菜摘氏(松本建設)(2)金塚歩美氏(射水建設興業)(3)呉智恵氏(安達建設)(4)高見るみ子氏(岡部)(5)辻井佑香氏(丸新志鷹建設)(6)筒井恵氏(朝日建設)(7)西川知日子氏(竹沢建設)(8)吉村果恵氏(大高建設)―の8名が出席した。
 参加技術者の自己紹介後、まず、北陸地方整備局富山河川国道事務所発注の「神通川・葛原地区堤防強化及び河道内整備工事」で、監理技術者を務める金塚氏(2000年入社)が、受注から工事完成までの流れを説明。現場に設置した女性用を含む快適トイレ、3社合同で開いた親子イベントを報告したほか、現場の1日の流れ、休日の過ごし方も伝えた。
 最後に金塚氏は、「子育てだけでも大変なのに、なぜ仕事を続けるのか疑問に思う人もいると思うが、人との関わりを含め、この仕事が好きという前提がある。子供を持ってからは、一人の技術者として誇れる仕事ができることがうれしい」と述べた上で、「1つの工事をチームに置き換えると、各プレーヤーが最大限の力を発揮できる状態を作ることが私たちの仕事。コミュニケーション能力が高いと言われる女性こそ適任。興味を持った方はぜひ一緒に働きましょう」と呼び掛けた。
 同じく、技術者の今井氏(2018年入社)は、施工管理の仕事に就いた理由について、「地域に貢献でき、地図に残るかっこいい仕事」と話し、「土木女子が増え、就業環境も整いつつある。不安もあったが、皆さんが優しくアドバイスして下さる。1つの現場を任せてもらうのが夢であり、土木施工管理技士の資格取得に向けて頑張りたい」と語った。
 その後、各テーブルに女性技術者がそれぞれ着席。学生の質問に各技術者が答える形で率直な意見交換が行われた。
 最後に学生の代表者が質疑応答結果を発表。転勤はあるのかとの質問に対し、「大企業はあると思うが、中小企業はほとんどない」、建設業の仕事で良いことと嫌なことについては、「仕事は楽しくやりがいがある。以前は休日がなかったり、残業もあり嫌だったが、最近は改善されている」、女性が少ない業界に入職する不安はなかったのかに対しては、「不安より、やりたい気持ちの方が強かった」、やりがいを感じる時はの問いでは、「お礼を言われたり、誰かの役に立っていると感じる時、自分が施工した物を見ると満足感が得られる」、休日の取得状況に関しては、「社会的な流れもあり、休みを取るようになってきた。会社によって違うが、週休2日制も進んでいる」といった内容が報告された。
 産休育休制度の取得状況や日焼け対策など、女性ならではの質問があった一方、女性でも出世できるのかといった積極的な意見も挙がった。

hokuriku