建設新聞社
2019/10/29
【東北】国土強靭化の計画的推進など要望/東北建設業協会ブロック会議/東北建協連
東北建設業協会連合会(千葉嘉春会長)は28日、国土交通省をはじめとする主要発注機関と地域建設業を取り巻く課題などを話し合う「2019年度東北建設業協会ブロック会議」を盛岡市の盛岡グランドホテルで開いた。この中で東北建協連は、国土強靭化の計画的推進と社会インフラの予算確保に加え、2019年度下期補正予算を早期編成するよう要請。また被災地特例施策を継続し、復興が完遂するまで現場実態を捉えた対応を講じることなども求めた。(意見交換の詳細は後日掲載)
東北建協連の千葉会長は「台風19号は広範囲に甚大な被害をもたらした。脆弱な国土を抱える日本で、激甚化・頻発化する災害などから国民の生命と財産を守るためには、長期的に視点に立った防災・減災やインフラの老朽化対策を具現化し、国土強靭化に寄与する社会資本整備の着実・安定的な実現が不可欠」と指摘。その上で「東北では地域によって工事量が激減するなど地域間格差が拡大しており、地域建設業の存続が危惧される。12年度から東北整備局直轄当初予算が激減しており、この当初予算を震災前の全国シェアに戻してもらえなければ、復興・創生期間が終わった後、地域建設業は存続できるのか」と危機感をあらわにし、各整備局予算の適切な配分を要請した。
また新・担い手3法について「国や自治体が連携して発注者責務を着実に実施することが重要。地域建設業が適切な利潤を得て経営基盤を盤石なものとし、夢のある産業として好循環を目指していかなければならない。働き方改革と相まって週休2日制や生産性向上は避けて通れない喫緊の課題。官民一体で課題を解決し、新しい3Kを実現したい」と力を込めた。
来賓のあいさつで岩手県県土整備部の中平善伸技監兼河川港湾担当技監は、「東日本大震災や台風災害では、地域建設業がいち早く道路啓開などに力を尽くし、地域の守り手として重要な役割を果たした。岩手県では、復興の先を見据えた建設業振興のための中期プランを策定し、建設投資の確保、生産性向上、働き方改革などの施策に建設業団体、企業と共に取り組んでいる。今後も経済活性化、交流人口拡大などを着実に進めていく」という達増拓也知事のメッセージを代読した。
国土交通省土地・建設産業局の高橋謙司建設業課長は「地域建設業は地域の守り手であり、重要な基幹産業として将来にわたり社会的な使命を果たしていかなくてはならない。こうした中、先の通常国会で成立した新・担い手3法をしっかり運用することで、建設産業の働き方改革と生産性向上に努めていく。必要な公共投資の確保にもしっかり取り組んでいきたい」と意気込みを示した。
全国建設業協会の近藤晴貞会長は「地域の建設業がその役割である地域の安全・安心の確保を担い続け、地域の活性化に貢献していくためには、健全な経営基盤と担い手の確保・育成が不可欠。適正利潤の確保、働き方改革、生産性向上など課題はたくさんあるが、これらの解決無くして将来にわたる地域の安全・安心はあり得ない。本日は課題解決に向けた建設的な意見交換会を期待する」と訴えた。
提供:建設新聞社