市原市の庁舎強靭化対策検討委員会(鮎川二郎委員長)が28日開かれ、現在の第2庁舎等に代わる庁舎等の整備方針について、全棟建て替えの「B2案」とする素案を固めた。今後、議会に対して報告を行うとともに、12月を予定してパブリックコメントを実施。来年度から基本構想を含む基本計画の策定に着手する予定で、その後、基本・実施設計等を経て2024年度の着工を目指す。素案によると、必要面積は約1万5600uで、建設工事等に要する費用は84億円、60年間のトータルコストは384億円。
市は庁舎等の老朽化対策として、第1庁舎を延べ約8600uで建設。また、第2庁舎については、人命を守るための減災対策として軸耐力補強工事や上層階を不使用とする低層階への移転等を実施したものの、大地震への備えは万全でない状況にある。さらに、第2庁舎以外の議会厚生棟、エネルギーセンター、新議会棟などの既存建物の老朽化も深刻で、これらを含めた抜本的な強靭化対策が課題になっている。
このため市は昨年度、庁舎強靭化対策基本方針策定支援業務(将来的な整備方針)を千都建築設計事務所(千葉市美浜区真砂3−1−2)へ委託するとともに、学識経験者や関係団体の代表、公募による市民で構成する検討委員会を設置し、A案、B1案、B2案、B3案の4案に基づいて減築改修、建て替えの比較検討を行った。
A案は第2庁舎の6階以上を減築改修し、耐震補強を実施。併せて老朽化対策として、第2庁舎・エネルギーセンター・議会厚生棟はアスベスト除去及び中性化抑制、設備更新等を実施するほか、新議会棟は内外装の部分改修、設備更新等を実施するというもの。
B1案は、第2庁舎のみを敷地内で建て替え、それ以外の建物はA案と同様の老朽化対策を実施するというもの。
B2案は、対象施設全棟を敷地内において建て替えることで、耐震性能及び老朽化対策を行うというもの。
B3案は、新議会棟以外を敷地内において建て替え、新議会棟は内外装の部分改修、設備更新を実施するというもの。
B2案は、安全性・業務継続性の確保、事業期間中の機能性・快適性等、事業完了後の機能性・快適性等、付加価値の創出可能性・可変性、使用可能期間・整備時期・必要期間等のすべての評価項目で他の案よりも優れているとされた。
必要面積を約1万5600u(基準面積2万4200uから第1庁舎分8600uを差し引いた面積)としてコスト計算を行った結果、老朽化・耐震対策に係る経費(建設工事等費用)はB1案の73億円、B3案の82億円に次いで、B2案は84億円(A案は90億円)だった。
しかし、これに既存施設の除却費22億円、改修費(各施設の設備更新等)175億円、ランニングコスト(光熱水費等)103億円を加えた60年間のトータルコストは384億円で、1年当たりのライフサイクルコストは4億円で最も低く抑えられる結果になった。