京都市は23日、昨年9月の台風21号で発生したスギやヒノキの針葉樹人工林を中心とした大規模な風倒木被害を受け、森林再生の指針案をまとめ明らかにした。今後11月に再生指針を策定する。
大規模な風倒木被害については、現在、森林所有者の負担軽減を図る京都市独自の補助制度の創設や、京都府と連携した治山事業の推進により、二次災害の恐れのある公道沿道や民家裏を優先して倒木処理を進めている。
今年9月末時点で34㌶の被害地が倒木処理に着手されている(うち9㌶完了)。引き続き、優先度に応じた計画的な倒木処理により、公道沿い等は3年間、その他の山林奥地はできるだけ早急な復旧を促す。
市は、今後同様の被害を繰り返さないよう、災害に強い森づくりを進めるため、森林や地質の専門家等の参画を得て、森林倒木地の再生に関する有識者会議を設置。昨年12月から今年9月に計4回の会議を行い、森林再生の指針案をまとめた。
適地適木を基本とした植栽による森林再生に主眼を置き、方針①「広葉樹を中心とした多様な樹種が植栽された森林をつくる(適地適木)」、方針②「適正に管理された森林(針葉樹人工林含む)をつくる」、方針③「道路境界等から20m程度の範囲は中低木管理をする」の3点を再生方針とする。
根返り等により表土が流出している箇所は、多様な素材と工法の中から最適なものを選択して表土流出対策を講じることによって、表土層の侵食を防止しつつ、植栽した樹木の根系の広がりによる土壌緊縛効果を最大限に活用する。
植栽の候補とする樹種は、現地で把握した堆積区分に応じて選定。配植にあたっては、自然林に近い又は強風の抜け道や景観等を配慮したランダム集中的な配植、同種の根系を持つ樹種を隣合せて植えないなどに留意する。
規則一様の植栽配置を行う場合は、単一樹種を避けるとともに、根系の発達を促すよう適地適木を実践する。
食害対策では、網目の粗いネットは破壊される恐れがあるため、金属製を除き、網目が5㎝以下の防護柵を用いることが望ましいとした。また鹿の潜り込みによる侵入を防止するため、スカートネットを併用することも検討するとした。
なお行政区別の被害面積は、▽北区…24ヵ所、36㌶(雲ケ畑17㌶)▽左京区…160ヵ所、92㌶(鞍馬53㌶、静市24㌶)▽右京区…330ヵ所、92㌶(うち京北304ヵ所、81㌶(山国40㌶))▽山科区…1ヵ所、2㌶▽西京区…27ヵ所、28㌶(大原野23㌶)▽伏見区…1ヵ所、2㌶で、合計は543ヵ所、252㌶。