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建通新聞社(静岡)
2019/10/21

【静岡】静岡県静岡市の歴史文化施設 SANAAが再設計3案示す

 静岡市の歴史文化施設建設に関連して、今後再設計を進めるSANAA事務所(東京都港区)は、新たに施設の設計3案を明らかにした。戦国末期の道路遺跡を展示に取り込んだ場合の施設案で、14日に行われた建設フォーラムで示した。
 従来進めてきた設計は、敷地南側に3階建て棟(鉄筋コンクリート造・柱は鉄骨鉄筋コンクリート造)、北側に2階建て棟(鉄骨造)の2棟形式、計延べ約5000平方b。3階建て棟は1階に家康公研究室、市民活動室、管理室、2、3階に展示室を配置。2階建て棟に歴史体感展示、市民交流エリアを予定していた。出土した遺跡・面積500平方bを、どのように建物内に取り込むかが焦点となっている。
 A案は、従来の設計をできる限り反映させ、3階建て棟1階中央部の両側に管理室、市民交流エリアを配置し、遺跡を展示する方法。施設高は、これまで通り19bに抑えられる。しかし、遺跡が外側から見えないこと、スペースが窮屈で遺跡の存在が埋もれてしまうこと、また、構造的に建物に負担がかかることとなる。
 B案は、3階建て棟、2階建て棟の位置を入れ替え、3階建て棟を2層吹き抜けの上に3層をかぶせて5層構造とする方法。1階部分に管理棟、管理室を設けて、その上に展示施設を集め、低層棟を遺構展示に当てる。しかし、駿府城の巽櫓(たつみやぐら)の前に、5階建て高さ31bの施設が建つことになる。
 C案は、B案同様、北側にこれまでの3階建て棟を4階建て構造に抑えて配置、南側の低層棟に遺跡、市民交流エリアを併設する方法。高層棟の高さは、B案よりは低い25bとなり、A、B案の折衷案的位置付け。施設の拡張は避けられない中、景観面などを考えた場合、最有力案とも言える。
 建設フォーラムでは、市民から地下の利用や、道の遺跡の外部展示などの意見もあったが、2・5b掘削しただけで出水してしまう地質的条件や、外部展示は遺跡保存に適さないことなどを説明した。
 静岡市の田辺信宏市長は、官民一体で建設に当たることを強調しながら、あくまでも完成年度は1年遅れにとどめたい考えを示した。市では、今回市民から出された意見などを踏まえて、今後1、2カ月のうちに規模や施設を決定し、実施設計に入りたい考え。2020年秋以降の着工、21年度中の完成を目指す。
 葵区追手町4ノ16、旧青葉小学校跡地の敷地約5000平方bに建設予定。当初予定では建設事業費は30億円を上限とし、展示関連事業費は約12億円を見込んでいた。


提供:建通新聞社
(2019/10/21)

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