東京都は「東京2020大会開催時における都庁発注工事の調整に関する取組方針」(10月版)を策定した。今夏の工事調整の試行や、会場周辺交通対策の取りまとめ、さらに建設業団体などからの要望を踏まえ、4月に公表した方針を更新し、工事調整の具体的な取り組み内容や、経費・工期設定の考え方などを明確にした。発注済みで工期が重なる工事については、発注者と受注者で早期に協議を開始し、施工計画を変更するとともに、それに伴う経費・工期は設計変更で適切に対応する。今後発注する工事に関しては、工事調整の取り組みを特記仕様書に明記し、契約後に発注者と受注者が協議した上で、車両削減などに向けた具体的な取り組み内容を決める。交通誘導員確保のため、同一現場に複数の警備業者の誘導員を配置できる施工計画も検討する。
新たに策定した方針では、工事調整を行う期間を拡大。「日中の路上工事を避け、車両数を削減する期間」を7月20日〜8月10日と8月25日〜9月6日の計35日間とする。「路上工事以外の施設工事等で車両数を削減する期間」についても同じ期間(土日を除く25日間)を設定する。
対象とするエリアは細分化した。大会関係地域については、関係者輸送ルート・観客輸送ルート・競技会場周辺と、重点取組地区にエリアを分割。区部(会場や関係者輸送ルートなどがある区内)でも環状7号線の内側と外側にエリアを分割し、これらの区域では日中の路上工事を避け車両数を削減する。
工事調整に関する基本的な考えも明記した。工事発注については、平準化に努め発注時期を適切に調整することに加え、「大会期間が準備期間、工場製作期間となるような発注」「大会関係地域とのその他エリアを組み合わせた発注」「単価契約などの小規模工事を、期間中は大会関係地域外で施工」など発注方式を工夫する。
工事調整の具体策としては、▽発注の前倒し・後倒し▽工事の一時休止(現場休工日・夏季休暇期間の大会期間中への変更)▽工事車両出入り調整(出入りできる時間の早朝・夜間などへの振り替え、資材などの搬入の前倒し、廃材などの集約による期間中の搬出回数の削減)▽工事の夜間への振り替え―などを例示。既に発注済みの工事については発注者と受注者の協議を早期に開始し、施工計画を変更し、必要な経費や工期は設計変更で対応する。今後発注する工事では、工事調整の取り組みを特記仕様書に明記し、契約後に発注者と受注者が協議して施工計画をまとめる。
大会期間中は交通誘導員の不足が見込まれるため、同一現場に複数の警備業者の交通誘導員を配置できるような施工計画も検討する。
建設発生土については、受け入れ施設(建設発生土再利用センター、中防内側受入基地、新海面処分場)が海の森水上競技場に近接しているため、昼間の受け入れを中止する一方、夜間の受け入れを行うとともに、夏季休業期間の稼働を検討する。
さらに、都以外の公共事業者に対して、都の方針に沿った取り組みを依頼し、民間事業者に対しても大会期間を外した工事設定・発注と、受注者と協力した車両削減の検討を求める。
提供:建通新聞社