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建設経済新聞社
2019/10/09

【京都】京建協と近畿地整が意見交換 安定的な事業費確保など要望

 一般社団法人京都府建設業協会(小ア学会長)と近畿地方整備局は7日、京都市下京区のホテルグランヴィア京都で意見交換会を開催。7つの要望・提案テーマについて意見を交わした。
 意見交換会には、京都府建設業協会から小ア学会長、吉村良一副会長、三輪泰之副会長、玉井康義副会長、山内基義副会長、木英二理事(総務広報委員長)、北中孝幸理事(土木委員長)、中川雅勝理事(建築委員長)、絹川雅則理事(労務経営委員長)、井上準二理事(社会活動関連特別委員長)、平岡幹弘専務理事ら、近畿地整から橋本雅道企画部長、宮川久企画部技術調整管理官、増田安弘企画部技術開発調整官、林和彦企画部総括技術検査官、古賀聡明企画部技術管理課長、藤本正典企画部技術調査課長、児玉孝司企画部施工企画課長らが出席。京都府、京都市、独立行政法人水資源機構関西・吉野川支社淀川本部からも関係者が臨席した。
 近畿地整の橋本企画部長は、台風豪雨等の災害に触れ「良い関係を持つことで災害など何かあった時に信頼感を持ってやっていけるようにしたい。スピード感が大事」、琵琶湖疏水事業について触れ「京都は先進的なまち。魅力的な土木にしないといけない。若い人、女性も含めて参加しやすい建設産業につくりあげていきたい」と述べ、最後に「限られた時間ですが、いい意見交換をしたい」と呼びかけた。
 京都府建設業協会の小ア会長は、地域間格差、企業間格差の拡大に触れた後、「企業経営の基盤強化と安定化を図り、引き続き地域建設業として社会的使命を果たし続けるために、安定的・持続的な公共事業費の増額確保をお願いいたします」「建設業への若年者の入職を促進し担い手の確保育成に向けて、長時間労働の是正、週休2日の確保等建設従事者の処遇の改善を図るため、働き方改革への対応が急がれる厳しい状況にあります。そのためには適正な工期の設定、発注・施工時期の平準化、小規模工事のICTの活用等の推進が重要であり、いずれも発注機関の理解と協力が必要な課題ばかりであります」「本年6月に成立した新担い手三法では、実態を踏まえた制度の見直しや若手が活躍できる環境の整備が図られたところであり、適切な実施を確実にするためには、国ばかりでなく、地方自治体まで施策の展開が必要であり、周知・指導の徹底をお願いします」などと述べ、忌憚のない意見交換を呼びかけた。
 近畿地整と京都関係の管内事務所が主な取り組みを報告した後、7つのテーマ(@安定的・持続的な公共事業費の確保A地域建設企業の受注機会の確保・拡大B入札契約制度の改善C設計・積算D工事施工と設計変更E適切な工期の確保・発注施工時期の平準化F働き方改革)について意見交換した。
 安定的・持続的な公共事業費の確保について、近畿地整は「まずは3か年緊急対策事業をしっかりやっていきたい」「老朽化した社会資本はまだまだ拡大し、その更新が必要になってくる」「国土強靭化は腰を据えてやっていきたい。中長期的に予算確保できるようにしたい」「品確法の改正で中長期的な見通しも明らかにすることが盛り込まれている」などと答えた。
 地域建設企業の受注機会の確保・拡大で、地域要件を本店が京都府内にあることとすること、適正な発注ロットの設定、可能な限りの分離分割発注を求める要望について、近畿地整は「事業量、難易度、競争条件などを考慮し、要件を定めている。特殊性のある道路の維持や橋梁の工事は要件を広げている」「企業チャレンジも増やすようにしている」などと説明した。
 入札契約制度の改善で、最低制限価格、低入札価格調査基準の引き上げについて「更なる引き上げの要望は、意見等を踏まえ本省に伝えてまいりたい」、工事発注前の事前調整について「地元や関係機関との協議ができているかをしっかりチェックしたい。再度、事務所に周知徹底を図りたい」、公告から落札決定までの長期化等について「二封筒方式を採用しており、3ヵ月程度かかっている。年度末にかけての入札では技術者の確保が厳しい状況になる。できるだけ余裕のある工期でやっていきたい」、総合評価の施工実績について、同種性の高い工種の施工実績の配点を区分に分けて段階評価とすることを求める意見について、「引き続き勉強させていただきたい」と答えた。
 設計・積算で、特殊材料単価の公表について「予定価格が類推されることから非公表としている。要望は本省に伝えたい」、単粒砕石、割栗石の単価について「実態を把握したい。実情をお聞かせ願いたい」、災害協定に基づく緊急時の出動について「災害時の緊急出動では、作業開始までの待機が増えることになる。現場の実態を踏まえ、本省に伝えたい」と回答した。
 工事施工と設計変更で、ASPの運用について「ASPの発議日・回答日等の修正については現場がうまく回っている場合は問題ないとしても、現場に負担をかけている場合は問題」などと回答した。工事の設計変更について「多額の工事費を要する追加工事等が発生した場合などは施工着手前に協議が必要。再度、事務所に周知徹底したい」、書類の簡素化については「発注者協議会を通じて府県と統一化を図るようにしている。府を通じて市町にも情報共有したい」と回答。京都府は「書類の簡素化は長年のテーマであり、少しずつであるが継続して取り組んでいる。これからも簡素化に努めたい。府内の市町村についても情報共有、提供していきたい」、京都市は「ほとんどの書類は提出は1部としている。国との書類の統一化は10月からとしている」と回答した。
 適正な工期の確保・発注施工時期の平準化について、近畿地整は「工期の設定については、全国共通のシステムを開発し、運用を図っている」「工事中止、設計変更のガイドラインに沿って適切に処理するよう徹底していきたい。年度末に工期が足らない場合は柔軟に繰り越しを活用するよう事務所に周知したい」と回答。協会側からは「民間工事ではまだまだここまでいっていない」と訴えた。近畿地整は「中建審では、不当な工期については大臣から勧告が実施される」などと回答。協会側からは「運用の面で、不当な工期で契約した場合の駆け込み窓口などの方策が必要であり、検討していただきたい」などの意見があった。
 働き方改革について、近畿地整は「週休2日工事については、発注者と受注者でモニタリングを行っており、阻害要因の分析を行っている」「働き方改革の取り組みは、これからも機会を捉えて民間発注団体に周知したい」などと回答した。
 三輪副会長は閉会挨拶で「民間工事においては、まだまだ建設業の長時間労働に対する理解が遅れているように見受けられます。長時間労働の是正など働き方改革に関しては、発注機関や関係者の理解や協力がなければ前進を見ない課題ばかりであります。新担い手三法の施行を契機に、公共工事だけでなく民間工事にもこれまで以上に理解が得られるよう、今後ともご支援・ご指導をよろしくお願いいたします」などと述べた。