近江八幡市が、増加傾向にある旧市街地の次世代に継承すべき空き町家の利活用を促進し、新しい町家の担い手を育成することで地域の活性化を図ることを目的に、「近江八幡市マスターリース事業」などの施行に向けた調査・検討業務を行なう。今年度内に業務を完了し、20年度から事業をスタートしたい考え。
2日、「第3号近江八幡市町家利活用検討事業関連業務委託」の名称で一般競争入札を公告。参加資格を、09年(平成21年)4月以降に公共機関発注の空き家情報バンクにかかる事業の運営を実施した実績を有すること(ただし、元請け実績の有無は問わない)―などとして、9日(午前9時から午後5時)に参加申請を受け付け、15日(10時40分)に入札を執行する。
業務委託の内容は、@近江八幡市町家マスターリース事業等の施行に向けた調査とワークフローの設計(町家所有者への活用意向調査、利活用希望者へのニーズ調査、空き家情報バンク事業やマスターリース事業等の先進地事例調査、調査結果の取りまとめと分析、町家の保全・再生を目的とした同市における事業ワークフローの設計)、A近江八幡市町家マスターリース事業等の施行に必要な業務マニュアルの作成(町家マスターリース物件の活用に必要なマニュアルの作成、利活用希望者と町家とのマッチングに必要な業務マニュアルの作成、その他事業の施行に必要な業務マニュアルの作成、モデル物件の選定と改修プランの策定)。業務委託期間は、20年3月末。
「本市の町家は、八幡堀を中心とした重要伝統的建造物群保存地区の町なみを構成する重要な建築物で、地域の共有財産である」とする近江八幡市では、重要伝統的建造物群保存地区が整備された時期や「近江八幡の水郷」が国の文化的景観に選定された時期である13年度(平成25年度)から観光入込客数が年々増加。近年では、集客力のある民間事業者の施設の開設により一層増加し外国人観光客も急増。観光入込客数に比例して、市への空き町家の活用を希望する事業者・起業家からの問合せも増えてきているという。
旧市街地に残存する空き町家は、15年度(平成27年度)に実施した調査事業で、旧八幡町(八幡学区の1区〜11区、16区の一部)における家屋数は1828戸あり、空き家数は184戸(約10%)で、その内空き町家数は95戸と空き家の51・6%をも占めている状況が明らかになっている。また、その増加率は5ヵ年で約1%増であり、今後更なる人口減少社会の進展に伴い増加が危惧される状況となっている。
一方で、市場流通促進を目的に民間事業者が13〜18年度(平成25〜30年度)に運用した町家情報バンクにおいて、空き町家の情報提供を求める利活用希望者から30件を越える申請があったとの報告もある。
このため、今回の業務において、マスターリース事業等の施行案を作成し、町家所有者のニーズの実情や借り上げの期間、活用用途、民間事業者の公募等における課題等の調査と分析を行ない、次年度(令和2年度)の施行を目指す。
提供:滋賀産業新聞