東京都都市整備局は、首都高速道路都心環状線と八重洲線を結ぶ東京高速道路(KK線、延長2`)の大型車両の交通機能確保に伴う課題解決に向け、学識経験者や地元区を交えた「既存施設のあり方検討会」を設置した。KK線の交通機能確保策を巡っては、都と国土交通省、首都高速道路会社が設けた検討会が、構造補強や線形改良を行う構造強化案と、別線をトンネルで整備する地下案の二つに絞り込んでいるが、いずれの案もKK線と八重洲線との接続が困難になる箇所が生じることが分かったため、周辺地区のまちづくりの動向なども踏まえつつ、既存施設の在り方を別途検討することにした。10月10日に都庁内で初会合を開き、課題解決に向けた議論を始める。
KK線は、戦後の銀座復興と渋滞緩和を目的に、東京高速道路会社が銀座周辺の外堀や汐留川、京橋川を埋め立てて自動車専用の高架道路を建設。1959年に一部を、66年に全線を開通し、73年に八重洲線と接続した。延長約2`で、東土橋〜北数寄屋間(延長約0・7`)を片側1車線、北数寄屋〜新京橋間と東土橋〜東新橋間(同約1・3`)を片側2車線で供用している。道路建設費と運営費を、高架下にあるビル賃貸収益(14棟、約400店舗)で賄っている。
しかし、設計車両重量は20d(首都高速は25d)で、カーブ区間の幅員が不足しており、中央分離帯が簡易構造となっていることなどから、大型車の通行を規制しており、都心環状線の利便性が低下している。
こうした状況を踏まえ、都と国交省、首都高が2018年度に設置した「首都高都心環状線の交通機能確保に関する検討会」では、耐荷重25d確保のための構造(床版、桁)補強や線形改良を行う「構造強化案」と、KK線の下にトンネルを整備する「地下案」の2案に絞って、事業化の検討作業を進めている。その中で、構造強化の場合、KK線の西銀座付近のカーブ部で八重洲線との接続が困難となり、地下整備の場合はKK線の京橋〜汐留間と八重洲線との接続が困難になることが判明した。
こうした状況を踏まえ都は、KK線の交通機能上の役割も考慮した上で、既存施設の在り方を別途検討するため、学識経験者らを交えた検討会を新たに設置し、課題解決策を探ることにした。
提供:建通新聞社