京都府はこのほど、農林水産ビジョン(仮称)の中間案をまとめた。
令和元年度〜令和10年度の概ね10年間を計画期間とする。
概ね20年後に実現したい姿として、@魅力的な「産業」として夢あふれる農林水産業のイノベーションを実現[ビジネス]A地域の人々の希望と活力に満ちた「農山漁村」を実現[コミュニティ]B防災対策や食の安全確保など安心・安全な地域社会を実現[セキュリティ]−を掲げ、5つの重点戦略を設定した。
戦略1は〈スマート&コラボで農林水産業の夢と未来を創る〉で、▽徹底的な連携と共創でスマート関連技術の開発を進め、中山間地や特徴的な品目の多い京都に合う形で実装し、若者に魅力ある農林水産業を創出▽全ての業で伴走支援体制を確立し、生産現場と企業のコラボレーションを支えるなど多様で魅力的な農林水産業を創出。
戦略2は〈「林業の再生」と「防災・減災」の両輪で健全な森林を目指す〉で、▽森林経営管理法の制定や森林環境譲与税の創設を好機に、木材生産の拡大と森林整備・保全を推進▽治山施設や荒廃森林の整備、住民との災害情報共有など、ハード・ソフト両面から防災・減災対策を進め、府民の暮らしの安心・安全を確保。
戦略3は〈「京都らしさ」を生かしたバリューチェーンで世界を席巻する〉で、▽6次産業化・農商工連携による新商品開発などを進め、「京都らしさ」を打ち出したバリューチェーンを構築▽京の食文化との一体的な発信による輸出拡大やインバウンド需要の取り込みを重点的に推進。
戦略4は〈人づくりの裾野を広げ、多様な人材が育む地域と産業を実現する〉で、▽地域の農林水産業のを牽引する意欲ある人材を育成・確保し、ワーク・ライフ・バランスを実践する事業者を増やす取組を進め、儲かる産業・働きやすい産業に変革▽多様な働き方や農福連携の拡大等を通じて、農業・農村を支える人材を増やし、多様な担い手が支える農山漁村地域を構築。
戦略5は〈地域住民に寄り添い、強みを磨いて農山漁村(ふるさと)の絆を守る〉で、▽集落間、地域間の広域的連携のもと、地域経営(トータルマネジメント)が担える組織作りに取り組み、希望と活力に満ちたモデル的な地域を創出▽地域外の人材である「関係人口」の増加を図り、大学、企業等とともに地域資源を磨き活用する等により、資源の維持管理などの活動・コミュニティを確保。
重点戦略には成果指標・活動指標を設定。主な指標は▽農林水産業産出額▽担い手への農地集積率▽防災重点ため池に係るハザードマップ作成数▽地域ぐるみの防災対策の取組数(防災重点ため池、山地災害危険地区)▽(林業関連)素材生産数▽林業生産額▽山地災害危険地区の整備数▽府内産木材の利用量▽特にリスクが高い山地災害危険地区のうち対策が講じられている地区数▽6次産業化取組数▽農山漁村等への移住数など。
3つの実現したい姿のもとで、5つの重点戦略を今後4年間で集中展開する方針。
中間案は10月にパブリックコメントを行い、その後、12月議会に最終案を報告する。