東京都産業労働局は、農林総合研究センター立川庁舎の再整備に伴う基本計画の作成作業を森京介建築事務所(渋谷区)で開始した。老朽化している製茶棟と倉庫棟、展示養生温室と花き栽培温室、作業舎とガラス室を統合して改築し、増殖室や野菜栽培温室などを改築するとともに、農業管理棟や野菜貯蔵室を改修する。対象とする施設が多く、研究環境への影響を最小限に抑えて施工する必要があることから、必要な機能を踏まえた施設計画とともに工事手順・仮設計画を立案する。
同センター立川庁舎(立川市富士見町3ノ8ノ1、敷地面積約15f)は、東京の農林業振興を目的に各種調査や試験、研究を行うために都が設置した試験研究機関で、運営は東京都農林水産振興財団が担当している。敷地を北側の「上圃場(ほじょう)」と南側の「下圃場」の大きく二つに区分し、管理棟や試験圃場、果樹園、展示温室などを配置している。施設の多くが老朽化しており、既に本館については多摩産材を利用した改修を実施し、多摩産材モデルオフィスとしても公開している。
各種の調査・試験・研究の環境を整えるため、本館に続き残る施設の再整備に向けた基本計画をまとめる。
上圃場では、製茶棟(延べ床面積232平方b)と倉庫棟(609平方b)、作物調整棟(505平方b)の機能を統合して一体的に改築する他、▽油庫(20平方b▽貯炭庫(25平方b)▽車庫(66平方b)▽ウド軟化室(40平方b)▽野菜貯蔵室(45平方b)―を改築。農耕倉庫(84平方b)と堆肥舎(128平方b)を改修する。
下圃場では、展示養生温室(129平方b)と花き栽培温室(952平方b)、作業舎(72平方b)とガラス室(149平方b)、順化検定室(148平方b)と生産力検定室(152平方b)を、それぞれ統合して改築し、▽増殖室(163平方b)▽野菜栽培温室(264平方b)▽野菜・土肥試験温室(238平方b)▽病理・昆虫温室(113平方b)―などを改築する。農場管理棟(760平方b)は改修し、森林倉庫(136平方b)や無花粉スギガラス室(280平方b)、新倉庫棟(280平方b)、変電室(150平方b)などを新築する。
施工範囲が広いため、研究環境への影響を最小限にしながら円滑に事業を進められるよう、それぞれの施設に求められる機能を踏まえた施設計画を検討するとともに、工事手順や仮設計画を立案する。改築する建物については木造化を、それ以外の施設でも多摩産材・国産材を活用した木質化を併せて検討する。
提供:建通新聞社