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建設新聞社(長崎)
2019/10/01

【長崎】長崎南北幹線道路 市街地西側でルート検討

ルート選定委員会が初会合 年度内に県へ提言
  未着手の長崎市茂里町〜時津町間で渋滞緩和、代替道路確保など西側ルート案

 地域高規格道路・長崎南北幹線道路のうち長崎市茂里町〜時津町野田郷間の未着手区間が、事業化に向けて動き出した。27日に同区間のルート選定委員会(委員長・中村聖三長崎大学大学院教授)の初会合が開かれ、基本ルートの検討に着手。比較検討の結果、市街地西側の通るルート帯を選定した。今後詳細を詰め、来年1月に県への提言内容をまとめる計画だ。
 ルート選定の基本方針は、▽設計速度60`以上となる自動車専用道路▽支障家屋を少なくする▽大規模施設を極力回避▽地域コミュニティの維持に配慮▽工事施工の影響を低減―。起点(茂里町)側から北方面への接続に当たっては、平和公園(爆心地・平和記念像)を回避するよう西側に分岐。終点(時津町)側の接続は、西彼杵道路の時津ICとスムーズに接続できる道路線形にすることをそれぞれ前提とする。
 初会合では、これらを踏まえ、市街地の中心、西側、東側を通る三つの概略ルート帯を比較。基本ルートの選定作業を行った。市街地の中心軸を通るルートは、国道などの道路用地を活用しながら高架橋を整備する案。工事中は交通規制・既存道路の切り回し、施工ヤードの確保、路面電車の軌道移設や施設移転が必要で、概算延長は約7`。事業費は600億〜1000億円を想定(実績の平均単価を用いた概算額、IC設置費用は含まず。以下同)。
 西側ルートは、岩屋山に向かって標高が高くなる地形のため、トンネルを採用すれば支障建物が減る(起点付近は高架部)。概算延長は6・5〜7`で、事業費は400億〜500億円と想定。
 東ルートは岩谷橋付近(高架橋)から浦上水源地付近(切土・盛土)、道の尾付近(高架・一般部)を経て、終点に接続(トンネル)。概算延長は8〜8・5`で、事業費は500億〜600億円と想定。
 これらの説明を受けた委員からは「最も早く工事が完成するルートはどれか」との質問が相次いだ。県側は、支障家屋数や事業費、施工延長などが工期に影響すると説明。この結果、事業費が最も安くて延長も短く、支障家屋が少ない市街地西側で、具体ルートを検討することで意見が一致した(1次選定)。選定員会・初会合の様子

   次回会合 西側で複数ルートを比較検討
 11月頃を予定している次回会合では、今回選定した西側ルート帯にあるコントロールポイント(回避すべき施設)を設定。その上で、西側ルート帯の範囲内で複数のルートを提示し、比較検討する(2次選定)。
 県では、2次選定したルート案を基に、地域住民との意見交換会を実施。年明けに予定している最終会合では、地域住民の意見を踏まえて最適なルート案(一定の幅を持ったルート帯)を決め、県に提言する計画だ。
 事業主体である県の植村公彦都市政策課長は、審議に先立つあいさつの中で同路線について「西彼杵道路と一体となって長崎と佐世保を短時間で結び、地域間の交流連携や産業振興に大きく寄与するとともに、長崎市北部から時津町にかけての渋滞緩和にも資する。これまで何度も地元自治体や関係団体から整備要望を受けた」と述べ、県としても重要性を認識しているとした。ただ「JR長崎本線の連続立体交差事業に相当な予算が必要だったため、前に進めることができなかった」と説明。その立体交差事業にめどが付き、数年後には新たな都市計画事業の整備予算が確保できる見通しとなったことから、事業化に向けた対外調整に着手することにしたという。
 今回設置した選定委員会は、事業主体の県と地元自治体である長崎市・時津町が事務局となり、学識経験者、商工・経済、運輸・交通、観光、救急医療の幅広い関係者10人で構成。初会合では、ルート選定に先立ち、事務局が南北幹線道路の概要や未着手区間を走る国道206号の渋滞状況を説明。その上で、整備効果として▽高速移動の確保▽救急搬送体制の向上▽災害や事故時の代替道路の確保▽交通渋滞の緩和▽公共交通の利便性向上▽沿道環境の改善―を挙げた。ksrogo