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北陸工業新聞社
2019/10/01

【福井】宿布発電所跡を後世に/熊谷組が創業地再整備/完成式典開く/北電寄贈の設備も展示

 福井市に初めて電灯を灯し、近代産業の幕開けを担った歴史的な土木遺産である「宿布発電所」を広く後世に伝えようと、熊谷組(櫻野泰則代表取締役社長)が進めてきた同発電所の跡地整備事業が完成し、9月28日、福井市宿布町の現地で祝賀式典が盛大に開催された。
 宿布発電所は北陸電力の前身、京都電燈が建設し、1899年5月に福井県初の水力発電所として運転を開始。その工事のうち、導水路や貯水池などの石積み工事は熊谷組の創業者、熊谷三太郎氏が同社初の請負工事として施工した。
 今回の跡地整備は、熊谷組が創業120周年記念の一環として、18年5月から設計や各種協議を進め、19年4月から工事に着手。敷地内には貯水池や余水吐などの遺構が残るほか、展示館や芝生広場、駐車場も整備。建屋内には、北陸電力から寄贈を受け、実際に同発電所で使用され、今では国内に唯一現存する形式の貴重な発電設備も展示されている。
 当日は併せて福井市への寄贈式も執り行われ、櫻野社長、北陸電力の水野弘一代表取締役副社長、東村新一市長、地元住民ら約50人が出席。櫻野社長は、「地域の皆様に広く、長く活用いただくとともに、愛される施設となるよう願うばかり。福井発祥の企業として、地域の誇りと思っていただける企業を目指し、今後とも精進したい」と挨拶。
 来賓の東村市長は「貴重な遺跡を寄贈いただき、心から感謝する。土木技術の継承や地域の憩いの場、観光資源など幅広く活用したい」と祝辞。続けて水野副社長も壇上に立ち、「土木遺産の石垣や貯水池とあわせ、当社の事業を支えてきた水車、発電機が宿布の地に展示され、非常に感慨深い。福井市や地元の皆様に末永く愛していただければ」と述べた。

hokuriku