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北陸工業新聞社
2019/10/01

【富山】無人駅通し、まちづくり考える/学生と建築家のチームで設計提案/JIA富山が「ONEワク」開く 

 日本建築家協会(JIA)北陸支部富山地域会(水野敦会長)の主催による「ONE・ワク2019」が、9月28・29日の2日間にわたり開かれた。
 ONE・ワクは、未来の建築家を目指す学生たちが建築設計にチャレンジするもの。県内で活躍する建築家が、学生の思い描くものを一緒に考えるサポート役として参加。設計の面白さを伝えるとともに、次世代の建築家育成への協力を行うことで、若い世代の可能性を広げる狙い。
 今回の設計課題は、「文化駅〜富山地鉄の駅舎〜」。社会問題となっている無人駅を通し、学生と建築家からなる各チームが今後のまちづくりを考えた。参加学生は、富山大学芸術文化学部建築デザインコースおよび都市デザイン学部都市・交通デザイン学科の計15名、富山工業高校建築工学科と高岡工芸高校建築科の計21名。JIA富山から会員20名、JIA福井の出田会長らも駆けつけた。
 28日にアーバンプレイスで行われた開会式で、あいさつに立ったJIA富山の水野会長は「これからの地域を担う次世代の建築家を育成する手助けができないかと話し合い、昨年にONEワクをスタート。良い成果を得た」と述べた上で、「今年は可能性の幅を広げる目的で大学生を加えた。高校生、大学生、社会人のつながりができ、一つの小さな社会の縮図の中でプロジェクトを行う。今年は話し合う価値の大切さの中で、取捨選択しながら一つのものを築き上げることができれば」と話した。同じく市民交流部会の矢後勝部会長、道古麻紀子副部会長が、ONEワクの進め方などを説明。
 富山地方鉄道鉄軌道部の吉川護営業課課長が無人駅の現状、富山市活力都市創造部の中村雅也次長がコンパクトシティの取組状況、富山大学芸術文化学部の上原雄史教授が建築家から見たリノベーションの取組方法などをレクチャーした。
 その後、学生3〜4名と建築家2名からなる1チームを10チーム編成。設計を担当する無人駅(5カ所)を抽選で決めた。各チームは引き続き、現地調査とグループディスカッションを行い、提案の検討を重ねた。
 2日目の30日は、高岡工芸高校に集合。提案結果を基にイメージパースや平面図、配置図などを各担当者が手書きで作成し、A0サイズの紙1枚にまとめた。プレゼンは学生のみで行われ、コンセプトや計画案を説明。各チームは、地域との交流強化や魅力アップに向けた仕掛けを紹介したほか、農産物直売所やギャラリー、退役車両を図書館や食堂にする案など、様々な提案を発表した。
 審査員による投票の結果、1位と2位を選定したほか、JIA協力会員(北陸電力、YKKAP、精田建鉄)3社の各賞も選ばれ、受賞チームに記念品が贈呈された。
 講評で富山市の中村次長は「人口減少、高齢化の中でも公共交通は将来も残すべき重要なもの。今日の各提案は、今後のローカル鉄道のあり方を垣間見ることができた」、上原教授は「学生にとって大事なことは、建築家が熱意を持ち話しをしてくれたかということ。今回を建築家として成長する機会にしてほしい」と述べた。
 水野会長は「みんなで知恵を絞り、汗をかいて出来上がったものは大きな紙1枚だが、明日へつながる1枚。参加者から、各チームは設計事務所のようだと言って頂いた。今日思ったことを今後の支えに、最終的には我々と一緒に設計ができる日が来ることを楽しみにしたい」とあいさつ。矢後部会長の閉会宣言で終了した。

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