東京都建設局は日比谷公園の再整備に向けた基本計画策定作業に乗り出す。有識者会議が2018年12月にまとめたグランドデザインに基づき、その将来像を実現するために必要な空間構成やゾーニングを検討するとともに、導入すべき機能や施設の配置や規模、管理・運営の方針などを方向付け、概算工事費を算出する。並行して公園審議会で整備計画の議論を進め、再整備の内容を固める。
グランドデザインでは、「誰もが迎え入れられ、心地よく過ごせる上質な公園」「まちと連携し、相乗的に新たな魅力を生み出す公園」「歴史的、文化的価値を顕在化させた特別な公園」「緑とオープンスペースのネットワーク形成の核となる公園」「多様な主体と連携し、利用者の視点で運営する公園」の五つを日比谷公園の将来像として提示した。
具体的な取り組みとして▽質の高いサービスの提供や施設の整備・改修による利用者ニーズへの対応▽段差などのバリアーの解消、ユニバーサルデザインに配慮した施設整備▽地下やデッキなどで公園と周辺のまちをつなぐことによるアクセシビリティーの向上▽公園内の風景と周辺建物を対比できるビューポイントの創出や施設のライトアップ▽歴史的価値のある日比谷公園管理事務所や日比谷公会堂などの保全・修復・改修による活用▽周辺のまちづくりとの連携による緑やオープンスペースの確保、皇居外苑(がいえん)などとの一体感の創出▽民間活力の導入による公園の魅力向上―などを求めている。
これを踏まえ、日比谷公園の利用特性や立地特性、歴史的・文化的価値、留意すべき植生や生き物、周辺の土地利用と公園との関係などを整理し、グランドデザインで示した将来像を実現するためのゾーニングを設定するとともに、ゾーンごとに導入すべき機能・施設や機能を充実すべき施設を検討し、そのデザインやイメージ、配置、規模などを定める。再整備工事の優先順位や事業期間を考えて事業スケジュールをまとめ、概算工事費を算出。施設の維持・管理・運営の方向についても検討する。
基本計画策定に伴う検討業務は10月7日申請締め切り、24日開札の希望制指名競争入札を経て委託し、年度内に成果を得る。
日比谷公園(千代田区日比谷公園)は日本初の“洋風近代式公園”として1903年に開園した。開園面積は約16・2fで、歴史的建造物に位置付けられている市政会館・日比谷公会堂をはじめ、野外音楽堂、日比谷図書文化館、草地広場、軽飲食店、「緑と水」の市民カレッジ、日比谷グリーンサロン、テニスコートなどを配置している。このうち市政会館・日比谷公会堂の改修に伴う設計や、野外音楽堂の再整備に向けた検討は、今回の業務とは別途進めている。
提供:建通新聞社