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日刊建設工業新聞
2019/09/30

【鳥取】一定程度の利益を確認/工事原価を実態調査

 県発注の土木工事で予定価格に占める工事原価の実績は80・9%―。調査基準価格を設定する際にみてある工事原価86・1%を下回っており、受注者は一定程度の利益を上げていることが昨年度、県土整備部が実施した実態調査の結果で分かった。
 工事原価の実態調査は、最低制限価格付近で落札し、昨年1月から同6月までに完成した40工事を抽出。土木一般A級、B級対象の予定価格2000万円台から2億円未満までを対象としており、同部が昨年6月から同11月にかけて一部は聞き取りするなどして実績を調べた。
 この結果、実際にかかっていた工事原価は予定価格に対し80・9%となり、調査基準価格や最低制限価格の設定で計上する工事原価86・1%に比べ低い数値が出た。
 併せて、同部は17年5月から18年3月期決算の96社を対象に損益計算書を分析。会社経営に最低限必要な一般管理費を調査したところ、調査基準価格などの設定上、計上してある一般管理費の割合は予定価格の6・2%に対し、実態は予定価格の5・5%程度だった。
 これら調査結果を踏まえ、同部は現行の調査基準価格(予定価格92%程度)の水準でも工事原価、一般管理費ともに一定の必要経費が確保できているとみている。
 ただ、工事原価の実績が圧縮されている背景に、同部は「直工費と共通仮設費の中に含まれる労務費にしわ寄せが行っている可能性はある」(県土総務課)と話し、適切な賃金水準の確保に懸念を示している。
 今回の実態調査は県建設業協会の要請を受けて3年ぶりに実施。前回15年度の調査では、最低制限価格を上回る費用がかかっていることが判明。16年度から予定価格の92%程度とする最低制限価格(調査基準価格)の引き上げにつながった。

日刊建設工業新聞