秋田市市場管理室は、老朽化した公設地方卸売市場の将来的な施設整備に向け、卸売業者や仲卸売業者、関連事業者を対象に実施した意向調査の結果を市議会教育産業委員会に示した。市場施設の再整備方法については、立地条件が良好などの理由から「現地建替」が41%と最も多かった。市では令和6年度までに基本的な方向性を示すこととしており、先進地の視察なども行いながら検討を進めていきたい考えだ。
同市場(外旭川字待合28番地)の整備については、「秋田市卸売市場経営改革プラン」の行動計画(元年7月改訂)において、市場運営の効率化に向けた「コンパクトで適正な施設整備」として盛り込まれている。
施設は昭和50年に開場して40年以上を経過。平成24・25年度に耐震補強を含めた大規模改修を行ったことで20年は延命化が図られているため、建て替えなども将来的なものと見られるが、検討には一定の時間がかかるため、令和6年度までに施設整備に関する基本的な方向性などを示すこととし、検討をスタートさせる。
整備の検討に向けた今回の意向調査対象は36事業者(卸売業者5、仲卸業者14、関連事業者17、期間:元年6〜8月)で、◇今後(5年後)の経営見通し(目標または予測)◇市場の設置主体と運営方法 ◇市場施設の建て替え等 ◇今後必要なスペース―について行った。
経営見通しでは会社規模や従業員数、車の所有台数、取り扱い数量、取り扱い金額いずれも「現状維持」が多かったほか、設置主体は行政主導が望ましいなどの理由から「市」が86%、運営方法も「公営」が86%と最も多かった。
施設の建て替え等では、再整備の方法で「現地建替」が41%、「大規模改修」が28%、「移転新設」が14%、「その他」が14%となったほか、再整備後の入場希望については「希望する」が67%で最多。再整備による使用料の上昇を想定した場合の入場希望も「希望する」が58%と多かった。
再整備の完成時期については施設整備の適切な検討に一定期間が必要、自社における施設整備までの準備期間を考慮したといった理由により、6年度から数えて「5〜10年」が最も多い39%、次いで「10年超」が25%、「5年未満」が19%と続いた。
再整備した場合に事業者が使用する売り場などの必要スペースについては、「現状で十分」が売り場56%、事務所61%、駐車場80%といずれも多かったが、買荷保管所については「拡充」が67%と最多だった。
市は今回の意向調査ベースに、引き続き先進事例調査なども行いながら検討を進めたい考えだが、その過程で市場内事業者の状況や考え方が変わる可能性もあるため、必要に応じて適宜、同様の意向調査を実施する方針だ。
提供:秋田建設工業新聞社