23年3月のRDF(ごみ固形化燃料)事業の終了まで残り3年半余り――。能登地区でエリアごとに構成する各組合や自治体では、新たなごみ焼却施設を建設するため、9月補正予算で整備事業費や運営費の債務負担行為を設定したり、整備予定地の既存建屋の解体撤去の準備に取り掛かったりと、本体工事の発注に向けた準備を本格化させている。
◆来月、解体入札
河北郡市広域事務組合は今年度当初予算に、22年度までの4年間を期間とする本体事業費の債務負担行為として110億円を設定。津幡町能瀬の建設予定地にある旧河北郡市浄化センターの解体工事は制限付き一般競争入札方式で公告済みで、10月24日の開札を予定する。今後、本体工事に関して設計と施工一括の性能発注方式による入札手続きに向けた準備を進める。
ごみ焼却施設は、旧浄化センターの解体跡地約1万2500平方メートルに建設。熱による発電を行い、エネルギーを回収するシステムを導入、24時間連続運転で焼却する。焼却炉2基を備え、処理能力は日量118トンを見込む。23年3月の完成を予定する。基本設計・発注仕様書作成、環境影響評価などの業務は中央設計技術研究所が担当。
◆DBO方式
七尾市は新ごみ処理施設について、9月補正予算案に債務負担行為として、整備事業費70億4550万円(期間20〜22年度)、運営費80億360万円(同22〜42年度)を盛り込んだ。建設工事や運営管理などを民間事業者に包括的に委託する「DBO方式」を採用し、10月をめどに総合評価一般競争入札で公告する方針。
ごみ処理施設は、同市吉田町のななかリサイクルセンターの旧第1衛生処理場跡地約5800平方メートルに整備される。24時間連続運転のストーカ式焼却炉2基を備え、処理能力は1日当たり約70トンを想定。隣接する中能登町のごみも受け入れる。23年度の供用開始を目指す。基本設計・発注支援、生活環境影響調査の各業務は中央設計技術研究所が担当。
輪島市穴水町環境衛生施設組合も9月補正予算に、新ごみ焼却施設建設に伴う債務負担行為の限度額として、整備事業費44億5500万円(期間20〜22年度)、運営管理費55億円(同22〜42年度)を設定。今後は「DBO方式」による公募型プロポーザルの募集公告の手続きに向けた準備を加速させる。
輪島市門前町原にある輪島・穴水地域RDFセンターの隣接地(旧斎場跡地)に建設する。1系列准連続式で1日当たりの処理能力は35トン、年間処理量は9800トンを見込む。炉型式はストーカまたは流動床方式。23年1月の供用開始を目指す。発注支援、生活環境影響調査各業務は中部設計が担当。
◆来年度予算化
奥能登クリーン組合は、能登町上町にある奥能登クリーンセンター敷地内にごみ焼却施設を建設する。今年度は工事発注仕様書作成業務を日本海コンサルタントに委託。来年度に本体工事の事業費を予算化する方向で調整を進める。
計画では、施設の処理能力は日量30トンとし、焼却炉2基を備える。処理水を公共用水に直接排水しないクローズドシステムの採用を想定する。22年度の完成、23年度の供用開始を目指す。
今年度、新たなごみ処理施設の整備に向け基本構想の策定に着手した羽咋郡市広域圏事務組合。7月に関連業務を中部設計に委託した。建設地や処理能力、事業方式、ランニングコストなどの検討を進め、早期に方向性を判断したい考えだ。
同組合は石川北部RDFセンター(志賀町)の稼働終了後、当面は県外委託によるRDF方式の継続も検討している。
◆運用から20年
河北郡市以北の12市町で構成する石川北部アール・ディ・エフ広域処理組合による石川北部RDFセンターは、ダイオキシン類対策特別措置法の強化に対応した資源循環型社会の推進を目的に03年3月に稼働を開始した。
その後、維持管理費の高騰やダイオキシン抑制技術の向上などで小規模なごみ焼却施設でも対応できる見込みとなったため、運用から20年で役割を終えることになった。
16年度には、今後の建屋解体などに向けた財産処理調査(担当・東洋設計)を行ったが、現時点では事業スケジュールは明らかになっていない。