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建通新聞社(東京)
2019/09/24

【東京】都の入契改革本格実施から1年、不調発生率が改善

 東京都財務局は入札契約制度改革の本格実施から1年(2018年6月25日〜19年6月24日)の状況をまとめた。同局が契約する大規模な案件の平均落札率は93・7%で、試行期間中(17年6月26日〜18年6月24日)の93・6%と比べ横ばいだったが、各局が契約する案件では試行期間中を0・9ポイント下回る92・6%となった。不調率(発生)については財務局契約、各局契約ともに改善した。
 本格実施後の状況を見ると、財務局契約の案件では平均落札率が93・7%(試行期間中は93・6%)、不調率は14・4%(17・6%)、平均希望者数は5・4者(6・2者)、平均応札者数は3・9者(4・9者)となった。
 各局契約の案件では、平均落札率が92・6%(93・5%)、不調率が16・7%(23・2%)、平均希望者数が9・3者(10・2者)、平均応札者数が4・3者(5・3者)となっている。
 予定価格の事後公表関連では、財務局契約で応札者1者の案件の割合が23・7%(14・6%)、落札率99%以上が15・2%(10・3%)、応札者1者で落札率99%以上が11・2%(5・6%)となった。各局契約では応札者1者が22・5%(11・9%)、落札率99%以上が13・8%(11・5%)、応札者1者で落札率99%以上が9・5%(4・1%)だった。
 JV結成義務の撤廃関連については、混合入札の導入による平均希望者数は4・9者で、試行期間中の5・0者と比べほぼ横ばいで推移。一方、混合入札でJVが落札する割合は20・7%で、試行期間中の14・9%を上回った。また、混合入札での中小企業の受注割合は、件数ベースで64・1%(53・3%)、金額ベースで47・7%(36・2%)となり、試行期間中を大幅に上回った。
 低入札価格調査制度拡大の関連では、財務局契約で調査対象となった案件が60件(79件)あり、試行期間中と同様、全ての案件で調査対象者が失格となっている。

「ひとくちメモ」
 1者入札の中止、予定価格の事後公表への移行、低入札価格調査制度の運用範囲の拡大、JV結成義務の撤廃を柱とした入札契約制度改革の試行では、1者入札の中止や不調の多発、低入札価格調査での失格が相次ぎ、事業執行が遅れるといった課題が発生。都は入札監視委員会の提案や業界の意見を踏まえて制度の内容を見直し、本格実施として新たな制度の運用を始めた。
 本格実施では、予定価格は事後公表を原則としながら、中小企業の積算負担の増大や各局案件での不調の多発などを踏まえ、予定価格が一定規模を下回る案件(建築4・4億円未満、土木3・5億円未満、設備2・5億円未満)は事前公表に戻した。JV結成義務の撤廃に伴う混合入札も継続する一方、総合評価落札方式の入札で中小を含むJV結成を行った場合の加点幅を引き上げるとともに、都内中小とのJV結成を入札参加条件とする「技術者育成モデルJV工事」を実施することにした。
 1者入札の中止は廃止した。低入札価格調査制度は試行を踏襲して一定規模以上(予定価格が建築4・4億円以上、土木3・5億円以上、設備2・5億円以上)の案件に適用し、これを下回る工事に最低制限価格を設けることにした。

提供:建通新聞社