静岡市は、2019年度に着工を予定していた歴史文化施設建設について、9月補正予算案に建築設計、展示設計の再設計費を計上した。埋蔵文化財調査で、戦国末期の道路の遺跡が見つかったことから対応を検討していたが、遺跡を展示に取り込んだ形で、再度設計を行うこととなり、工事着手時期は丸1年延期されることとなる。市は、9月議会での承認を待って、10月下旬に建築設計と展示設計を再度委託する。
詳細な方向性は設計の中で具体化するが、建物内に面積500平方bの遺跡を建物内に取り込むことになるとみられ、計画の階高などを変更する可能性もありそうだ。SANAA事務所(東京都小平市)の公募型プロポーザルでの提案では、4階建てと3階建ての2棟形式・高さ25bとなっていた。基本設計の中で、3階建てと2階建て(吹き抜け構造)の2棟形式・高さ18・8bへと変更。階高を抑えながら遺跡展示スペースを確保するため、2階建て棟を3階建てとする案なども検討すると予想され、展示施設の配置計画も大幅な変更を余儀なくされる。
建設事業費は30億円を上限とし、展示関連事業費は約12億円を見込んでいたが、9月補正予算案で19年度分の工事費12億9630万円を減額し、再設計費1億3000万円を計上した。
葵区追手町4ノ16、旧青葉小学校跡地の敷地面積約5000平方bを利用して建設する。現在の計画では、建築面積2550平方b、規模は3階建て棟が鉄筋コンクリート造(柱は鉄骨鉄筋コンクリート造)、2階建て棟が鉄骨造、計延べ約5000平方bとなっている。3階建て棟から2階建て棟へ巡る回廊(鉄骨造)を設け、3階建て棟の外壁は吹き付け構造とする計画だった。外壁や基礎などの基本的な仕様は、そのまま維持されると見られるが、2階建て棟の外壁はガラスのカーテンウォールとし、全体をエキスパンドメタルで覆い、屋根は金属屋根、基礎はベタ基礎を採用する方向となっている。
施設内容は、機械室、市民交流エリア(家康公研究室、講座室、市民活動室など)、運営管理エリア(事務室など)、展示室、収蔵庫、展望ラウンジ、歴史体感展示エリア、カフェ、ミュージアムショップなどを予定。外構整備は、約600平方bの広場整備を予定していた。
提供:建通新聞社
(2019/9/18)
建通新聞社 静岡支社