国・県・学識経験者と港湾関係者などで構成する高知港長期構想検討委員会(委員長=須野原豊日本港湾協会理事長)の第3回会合が5日、高知市内で開かれた。会では、2020年度から10〜15年先を目標とする新たな港湾計画案を策定、七つの基本戦略に基づきさまざまな施策を展開する。このうち防災面では、防災拠点港としての機能を強化するため、緊急物資輸送用の耐震岸壁を整備することが盛り込まれている。
現行の港湾計画は00年度に策定されたが、フェリー航路廃止やセメント工場生産中止など港の状況は大きく変化する一方、外国のクルーズ客船寄港が大幅に増加した。また道路ネットワークの変化や地震・津波対策の本格化など高知港を取り巻く環境が大きく変化している。そのため20〜30年先を見据えた長期構想を策定するとともに、港湾計画も見直す。
計画案によると、七つの基本戦略のうち「安全な企業活動や暮らしを維持するための港湾の防災機能強化」では、三里地区に新たな耐震強化岸壁を整備し、地域防災力の強化を目指す。すでに潮江と三里に耐震強化岸壁を整備しているが、背後圏人口に対する緊急物資必要量に対し1バース不足しているため新設する。また三重防護の第一ラインとなる防波堤の延伸・粘り強い化の早期完成を目指すことも盛り込まれた。
「地域産業の持続的な発展や競争力強化に資する港湾機能の強化とふ頭の再編」では、三里地区(高知新港)西工区に新たな港湾活動用地を造成する。西工区はもともとフェリーバースとして計画されていたが、05年度以降航路就航がなく、事業化に至っていない。そのため方針を転換し、安定的な物流確保に向け浚渫土などを有効活用する。なお将来的にはバルク貨物の移転用地として活用することも検討する。また三里工区では、バルク貨物の分散による混雑緩和や新規貨物に対応するため、仮防波堤沖に大水深岸壁を整備し、国際物流ターミナルを形成する。
「地産地消を支え県内企業の国際競争力を強化するための国際コンテナ物流拠点の形成」では、三里地区マイナス8b岸壁と全面泊地をマイナス10〜12bに増深し、コンテナ船の大型化に対応した係留機能を強化する。
「地域の魅力や観光資源を活用したにぎわい空間の形成」では、潮江地区で緑地、交流拠点用地整備を現行計画に位置付けているが未着手となっている。次期計画でも引き続き実現に向け事業を推進するが、緑地面積や交流拠点用地は見直す方針。また桂浜地区に小型旅客船係留施設を整備する計画も盛り込む。
「既存ストックの適正管理と有効活用するための戦略的ストックマネジメントの推進」では、老朽化が進んでいる潮江・港町、弘化台、仁井田の各地区で、施設の廃止や物資補給岸壁への転換など、コンパクトで効率的なふ頭に再編する。
提供:建通新聞社