東北地方整備局は5日、由利本荘市民俗芸能伝承館まいーれで、鳥海ダム建設事業に伴う損失の補償に関する協定書の調印式を開催した。東北地方整備局の佐藤克英局長、百宅町内会水没地権者会の佐藤一太郎会長、百宅地区ダム地権者会の村上一夫会長、鳥海ダム地権者会の齊藤一榮会長が、ダム建設事業に必要な土地等の取得・使用で生じる損失補償の基本的事項を定めた「鳥海ダム建設事業に伴う損失補償基準」の協定書に調印した。
鳥海ダムは昭和45年から県が予備調査を行い、平成5年には国が実施計画調査に着手。ダム事業の検証を進めて同27年に建設段階に移行し、同年から用地調査を開始、昨年末にはダム基本計画を告示した。
同ダムは◇建設地における計画高水流量780㎥/秒のうち700㎥/秒の洪水調整 ◇流水の正常な機能の維持 ◇由利本荘市に対し新たに1日最大20,670㎥の水道用水の取水を可能とする ◇同ダムの建設に伴って新設される(仮称)鳥海発電所において、最大出力990kWの発電を行うこと―などを目的に建設するもの。
基本計画によると、同ダムは台形CSGダム、集水面積83.9ku、堤体は堤高81mで建設。洪水時最高水位は標高419.2mで、最低水位は同401.4m。総貯水量は46,800,000㎥で、有効貯水量は39,000,000㎥を想定している。
調印後は、佐藤一太郎氏が「10年後には世界に誇れる鳥海ダムが完成し、百宅の人たちが協力してくれたおかげだと言われ、私たちも『協力して良かった』と喜び合いたい」とあいさつした。
今後は、国が各地権者との個別協議に入り、協議の進捗状況を見ながら転流工などの本格的な工事に着工する。
提供:秋田建設工業新聞社