栗東市の諮問を受け火葬場整備の必要性などを総合的に検討してきた「火葬場建設検討委員会」(野正勝委員長)は8月末に開かれた最終会合で「草津市との広域において、共同で火葬場を設置する」「事業手法は市の財政に負担が極力少なく、民間のノウハウを活用できるPFIなどの手法を検討すること」―との内容を盛り込んだ答申案を承認した。近く野村昌弘市長へ正式に答申し、市で検討の後栗東市としての方針を固め9月市議会をメドに示したい考え。
市が草津市と共同で整備・運営すると決定した場合、所有の市営火葬場の容量が25〜26年度頃には限界に達するとみられ整備を急ぐ草津市にスケジュールを合わせ、20年度予算にも事業費を措置し基本構想のコンサル委託など事業実施の運びに。早急に用地の選定に入り20年度末には場所を決定、21年度にも環境アセスメントや法整備とともにPFIを行う場合は実施方針の決定・公募から選定など、23年度にも施設整備着工まで進める必要がある。
検討委員会は8月末まで計3回の会合を終了。18年度の基礎調査結果に基づき栗東市が火葬場を「単独で設置する」「草津市と共同設置・広域運営」「設置しない」―の3つの方策から最適な方針、また公設公営・公設民営・PFIなど適切な事業手法について提言する目的。火葬場を持つかについては約15年前検討し「財政負担が大きく市単独では持つ必要はない」との結論が出ているが、長期間が経過したことから、最新の諸情勢のもと再度検討するため、18年度に基礎調査を行った(担当=パシフィックコンサルタンツ・大津市)。
基礎調査によれば火葬場の無い栗東市民は過去5年間平均で68%が近隣の草津市市営火葬場、27%が野洲川斎苑(守山・野洲広域行政)を利用。17年度の近隣火葬場利用件数は404人で高齢化や介護データから65年には利用ピークの年間857人に達すると予測される。1基あたり1日2・5件の稼働とすると2市共同整備を仮定した場合ピーク年の65年に必要となる炉数は7基で、単独の場合必要な栗東市4基、草津市6基の計10基より少なく、整備費用の縮減が図れ効率的に火葬場を整備できるとの試算を提示している。
栗東市住民の多数が利用している草津市営火葬場(東草津4丁目3―27)を運営する草津市は、老朽化や近い将来の炉不足が予測され、今後のあり方の検討材料となる基礎データ収集をはじめ調査業務を18年度完了、19年度は栗東市が進めている火葬場に係る検討の方向付けを待ち、草津市単独あるいは栗東市との広域施設という前提条件を決めた上で、詳細の検討を進めていきたいとしている。
提供:滋賀産業新聞