元下請け取引の実態をあぶり出そうと、県土整備部は「下請け取引アンケート」を今月内から実施する。各技能士団体の会員を対象に、元請けから不当な見積もりや契約を強要されていないか調査。赤裸々な声を結集した全体像を把握し、元請けに改善を申し入れる。
アンケートの実施概要は、2日県庁で開かれた「技能者確保・育成ワーキング会議」に示された。建設産業に入職する若手技術者の減少は深刻さを増しており、労働環境を好転させるため下請け取引の課題解決に本腰を入れる。
調査の対象は、鉄筋や型枠、とびの各技能士会に所属するメンバー。過去1〜2年にあった取引で元請けと契約した額面と、実際の支払いベース額に分けて記入してもらい、二重帳簿が存在しないかを確認。また、社会保険の適用外となるよう、4人以下の個人事業主になりすまして見積書を作成するよう求められたことがないかも調べる。
このほか、法令に抵触する恐れのある指値による下請け契約や、契約上の不当な圧力についても具体的な事例を尋ねる。
同部は「できるだけ本音の部分を記入してもらうことが重要」(県土総務課)と話しており、日ごろの取引に影響が及ばないよう、元請けへの直接指導や聞き取りは行わないことを条件に調査を進める。
アンケートは今後、8月内から9月にかけて実施。調査結果は個別事例を避けた全体像をHP(ホームページ)に公開するほか、建設業界に対し改善を求めて警鐘を鳴らす。
日刊建設工業新聞