県東近江土木事務所は、近年の集中豪雨により近江八幡市街地で浸水被害が生じている都市河川・三明川(さんみょうがわ)の総合治水対策に向けて、過年度の検討結果に基づき河川の水位を下げる対策として詳細設計に向けた河道対策の予備設計を取りまとめる。また、既往検討成果で有効とされた「維持掘削」については、今年度中にも着手できるよう実施に向けた設計資料を作成する。
7月30日に開札した「第402―1号三明川総合治水対策予備設計委託」の一般競争入札で、国際航業且賀営業所が1172万7000円で落札(予定価格1472万円)。20年2月28日までを期間に業務を取りまとめ、次年度以降の詳細設計に繋げる。
三明川は、近江八幡市と東近江市の行政区域界を上流端とし、国道8号・東海道新幹線・JR東海道本線といった主要交通路を横断し、近江八幡市の市街地を流下して一級河川・黒橋川へ流入する7・1qの都市河川。1970年代(昭和40年代後半)から進められた土地区画整理事業に合わせ河川改修が行なわれ、流域での急速な開発による流出量の増大に対応するため、洪水の一部を新幹線下流で白鳥川に分水する治水対策が行なわれて来たが、近年の集中豪雨(平成25年の台風18号、同26年の台風11号)では市街地で浸水被害が発生。
17年度(平成29年)から18年度にかけて、流域における市街地の浸水被害軽減のため総合的な治水対策の概略検討が行なわれ、浸水被害の要因は三明川の水位上昇による内水氾濫であると分析された。
このため、三明川の水位を下げる対策と、流域で雨水を貯める対策を組み合わせた総合的な治水対策が効果的であると推察。更に、要因分析を踏まえ、総合的な治水対策の目標を「平成25年18号台風の浸水被害の軽減」と設定し、選択し得る対策を検討したところ最終13案が抽出され、浸水リスク低減効果・経済性・実現性・施工性の観点から評価した。
今回の業務では、この過年度の検討結果に基づき、老朽化した既設の矢板護岸に留意し、経済性・実現性・施工性の観点から検討。延長700bの区間(市役所横を通過し県道2号手前で都市下水路と合流、直角に曲がる地点から黒橋川流入部まで)を対象に、最適な河道対策を抽出し、予備設計を行なうもの。
また、同区間で、既往検討成果において最も即効性・経済性・実現性に有効とされた維持掘削の今年度内着手に向けて、実施に向けた設計資料も合せて作成する。
提供:滋賀産業新聞