福井県コンクリート診断士会(山川博樹会長)の第105回研修会は5日行われた。今回は橋梁補修でも、ライフサイクルコストを重視し、埋め立てることで、橋ではなくする「無橋梁化」の工事現場を訪ね、その特殊工法に理解を深めた。
南越前町大谷の海岸線(越前・河野しおかぜライン)に位置する、特殊な橋梁補修が進む一般県道大谷杉津線「観音橋」の現場へ、診断士会のメンバー36人が参加した。
同橋は、41年が経過した橋長240・0メートル幅員7・0メートル(上部はポストテンション方式の8径間PC単純T桁橋)で、点検の結果、ひびわれなど海岸線特有の塩害劣化が著しく、補修が必要と判断された。その際、LCCの最小化へ、既存橋梁の維持修繕ではなく、橋梁を残したまま埋め立てて無橋梁化する方法を採用。メンテナンスが容易かつ安全・安心な通行を確保する点を重視した。
補修工事は、1次施工の仮締切(消波ブロック10トン)などを施す3次まで。現在は4次段階にあり、波返し擁壁を設けた後を、気泡混合軽量盛土(FCB)によって順次施工が進められている。
施工手順の説明は発注者である県丹南土木事務所の山口氏ほかが務め、使用材料の品質試験については麻生フオームクリート大阪支店の高崎支店長らが紹介した。会員からは積極的に質問し、使用材料の独自性や、雨天時の対応策など施工上の配慮や工夫点を尋ねた。施工は、中日本土木が担当。会員たちは実際の作業現場を間近に見て、現場の様々な先進性に学び、大いに参考とした。
続いて車で数分に位置する、一般国道305号「今泉大橋」の橋梁補修事業も見学。観音橋と同様、橋梁を残したまま軽量盛土構造とした先輩格で、施工後の状況を自分たちの目で確かめた。