国土交通省土佐国道事務所は、四国地方整備局管内の直轄工事では初めてとなる「技術提案の審査および価格等の交渉による方式」により、国道32号高知橋の耐震補強工事を進める。設計段階から施工者が関与する「技術協力・施工タイプ(ECI)」を適用、9月にも施工の優先交渉権者選定に向け、公募型プロポーザルを公告し、技術提案を求める考え。
国土交通省では、品確法第18条で「発注者が最適な仕様を設定できない工事」または「仕様の前提となる条件の確定が困難な工事」の場合、「技術提案の審査および価格等の交渉による方式」を適用できると規定している。
今回対象となる国道32号高知橋は、下を流れる江ノ口川の干満差が大きく、満潮時には橋桁近くまで水位が上昇するため、橋脚を補強する際に人や大型の重機が入ることが困難である。また道路中央部に路面電車の軌道が通っているため、支承部を取り換える際、わずかなジャッキアップもできない状況であり、「仕様の前提となる条件の確定が困難な工事」となっている。
そのため同事務所では、ECI(アーリー・コントラクター・インボルブメント)方式を採用し、補強工事を進める。まず、9月中に公募型プロポーザルを公告し、応募者から技術提案を求め、ヒアリングなどを経て優先交渉権者を選定、技術協力業務を締結する。優先交渉権者が提案した内容を別契約の設計に反映させ、設計完了後に優先交渉権者と価格交渉を行い、合意後に工事請負契約を締結する。なお設計は国際航業高知営業所(高知市)に委託済み。
また、技術提案・交渉方式適用の必要性や事業特性に応じた適切な評価項目・基準の設定などについて、学識経験者から意見聴取することを目的とした専門部会を7月30日に開いた。今後も節目で開催する。
高知橋の概要は、橋長34b、幅員36・7bの鋼道路橋。1925年に中央部のみ架設し、64年に拡幅工事を行った。中央部のみ81年に架け替えている。下部工はパイルベント橋脚、上部工は3径間単純合成鈑桁。場所は高知市はりまや町〜駅前町。
提供:建通新聞社