東京都都市整備局のまとめによると、特定緊急輸送道路沿道建築物の耐震化に伴う2018年度の助成件数は、設計が前年度比5・1%減(6件減)の110件、改修工事が9・8%増(12件増)の134件となった。これにより今年6月末現在の耐震化率は前年同期比1・4ポイント増の85・7%となったが、耐震改修促進計画に基づく目標(25年度末に100%)達成のためには継続した取り組みとさらなる働き掛けが必要だとし、アドバイザーや都区市町村職員による戸別訪問を19年度も引き続き実施するとともに、7月に施行した改正条例の内容について普及啓発を行っていく考えだ。8月6日に開いた耐震化推進都民会議で説明した。
耐震診断の結果、耐震性が不足していることが分かった建築物に対して、都は区市町村を通じて設計費や改修費を助成している。設計は14年度の309件、改修は15年度の254件をピークに減少に転じ、17〜18年度はほぼ横ばいで推移している。
こうした状況を踏まえ都と区市町村では、耐震診断実施後に耐震改修に未着手の建築物(の所有者)に対して直接訪問し耐震化を促す取り組みを16年度に開始した。19年度は首都高速道路沿道の千代田区や中央区など8区にある建築物55棟と、耐震化率が80%以下の路線(国道20号新宿通り四谷四交差点〜四谷見附橋交差点、御徒町小岩線蔵前通り横十間川交差部〜明治通り交差点など)沿いにある建築物や、耐震指標であるIs値0・3未満相当の建築物40棟の計95棟を戸別訪問する。これに合わせ改修計画作成などに向けた建築士などのアドバイザー派遣も実施する。
また、7月に施行した「特定緊急輸送道路沿道建築物の耐震化を推進する条例」の改正内容の周知にも取り組む。今回の改正では、建物所有者が行う耐震化に占有者が協力するよう「占有者の責務」を規定した他、特定行政庁が占有者に対し、耐震改修などの実現に向けた協力について必要な指導・助言を行うことができることを明確化した。建物所有者に対しても、占有者に対して安全性の基準に適合していないことを通知すること、耐震改修を行うための協力に努めることを求めている。占有者の理解・協力が得られず耐震化が進められなかった建築物を中心に、条例に基づく占有者への指導・助言などを通じて耐震化を加速する考えだ。
提供:建通新聞社