精華町は1日、重大事件等調査委員会の答申を受け策定した入札不正再発防止策を発表。併せて再発防止策に伴う組織・機構整備を同日付で実施した。
入札不正再発防止策では、早急に講ずべき@入札制度の見直しA組織の見直しB職員倫理の向上ほかを柱とする当面の対策をとりまとめ。また中長期的課題として、調査委の提言にある内部統制体制の整備にも取り組むこととし、今後議会の意見も聞きながら、9月末を目途に取り組み方針を策定し、公表する考え。
再発防止策の主な内容は、入札制度の見直しでは、情報管理を徹底し、職員の故意又は過失による情報漏洩のリスクを最小限に抑制する措置を講じる。取り組み内容は「最低制限価格算出の根拠となる設計書の電子データの管理強化(個人別パスワード管理)や設計図書の物理的な保管強化(施錠できるロッカー保管)」(8月実施)。
決裁ルートの短縮を図る。取り組み内容は「入札執行に関する決裁に添付する設計書を閲覧できる職員を最小限にとどめること、組織の見直しによる合議課数の削減、工事執行所管部署以外は設計書の添付を行わず工事概要書(設計合計金額記載)添付による決裁」(8月実施)。
最低制限価格計算方法を見直し。最低制限価格の計算に人的関与を無くすことで、恣意的計算のリスクが生じないようにするとともに、計算にあたっての情報漏洩のリスクを最小限に抑制する措置を講じる。
式札廃止、中央公契連モデル式、開札直前算出として、取り組み内容は「複数人による式札(予定価格調書)作成を廃止、従来の参考最低制限価格(中央公共契約制度運用連絡協議会モデル式算定方法による)をそのまま最低制限価格とする、入札会直前まで入札執行部署に計算資料が届かないようにして開札直前に計算」(8月実施。式札は4月に廃止済)。
情報漏洩リスクの低減を進め、国・府の入札制度の動向に合わせていくとともに、より適正な積算を行う業者が落札できるよう改善を進める。
予定価格公表の中止として、取り組み内容は「一定金額以上の公共工事等について予定価格の事後公表に試行的に取り組む、適正な見積期間の設定を確保するため議会等との諸調整」(令和2年度以降実施)。
積算内訳書と入札額の一致として、取り組み内容は「今年4月より既に積算内訳書と入札額を一致させるよう求めている、積算内訳書チェックの厳格化には業者のさらなる積算能力向上が必要なため今後の課題」(4月実施。厳格化時期は未定)。
組織の見直しとして組織・機構整備では、適正な入札を執行できる体制を確保するため、工事執行課と入札執行課の部局を分離。総務部に入札契約室1係(入札契約係)を新設し、建設工事等の入札及び契約に関する事務を事業部監理課から移管。これに伴い、監理課の監理係は検査用地係に名称を変更した。
また総務部企画調整課に職員からの内部通報窓口を設置するとともに、外部弁護士委嘱による窓口を設置する。令和元年度内に実施。
入札監視体制の整備として、取り組み内容は「第三者による入札監視委員会を条例設置して半年に一度入札事後抽出調査を実施、庁内にも部長級で構成する入札調査監視委員会を要綱設置し高落札率の入札や競争性のない1者入札など疑義のある入札について迅速な調査と監視を実施」(令和元年度内実施)。
人材確保・人材育成では、絶対的な土木建築技師不足を計画的に解消し、設計積算や現場管理の技能向上のための指導体制を整備するとともに、経験豊富な技師による厳格な検査を実施できるよう体制整備を図る。
技師確保と人材育成機構等の設置として、取り組み内容は「計画的な技師採用計画を策定し積極的な人材募集活動を展開する、技師一人ひとりの経歴管理を進め適切な指導を行う職を設置、外部組織への研修派遣を通じて技術習得だけでなく組織文化形成の担い手を育成」(令和2年度実施)。
検査体制充実による検査強化として、取り組み内容は「厳格な検査を実施できるよう技師資格と豊富な経験を持つ複数の管理職に検査員を任命して検査体制を整備」(令和元年度内実施)。
この他では、京都府の行動指針を参考に、精華町発注担当職員行動指針を策定、連絡通信手段の制限や執務室のセキュリティ強化も合わせて検討する。
指名停止基準の厳正化を図る。取り組み内容は「指名停止措置の対象となる職員に対する働きかけの明示や不正に入手した金額を利用等した場合の指名停止措置の厳正化」(8月実施)。
公共工事の発注
8月中旬再開目指す
現在、見合わせている公共工事の発注については、8月中旬からの本格的再開を目指すとしている。