2019年度の建設事業関係功労国土交通大臣表彰に、富山県建設業協会常任理事で大高建設代表取締役社長の大橋聡司氏が選ばれた。長年にわたり建設業に精励するとともに、関係団体の役員として地方業界の発展に寄与してきた功績が認められた。受賞について「建設界の先輩たち、建設業協会で業界発展のために一緒に汗を流す仲間たち、弊社の社員たちのおかげだと思っている」と謙虚に受け止める。
建設界では担い手不足が喫緊の課題だ。「建設産業が地域にとって必要であり続けるのか、若い人たちにとって希望が持てる産業であり続けるのか、そこが大きな問題」と捉える。その対応策として「働き方改革をさらに進める必要がある」と指摘。週休2日制や残業時間の抑制、夏・冬季の厳しい労働環境の緩和、ICTといった最新技術の導入など、働く環境の改善に取り組む姿勢だ。さらには「高校への出前講座や保護者との懇談会を通して、建設産業が未来産業であることをPRしていきたい」と、地道な活動にも力を入れていく考えだ。
黒部市宇奈月町に本社を構える大高建設。黒部川水系における護岸、地すべり対策、砂防整備など、自然環境の厳しい現場が多く「何よりも安全への意識、対策を最優先にしてきた」と自負。人材育成にも力を入れ、これらを両輪に新技術の導入や新しい事業領域へのチャレンジも積極的に取り組んできた。海外進出もその一つで、18年にはミャンマーに現地法人を設立。「グローバルに貢献する企業として一歩を踏み出した。インフラ整備とともに、人材育成でも貢献したい」と先を見据える。
今年6月にはSDGs(持続可能な開発目標)を宣言。地方の建設業で取り組む例はあまりないが「中小建設業のトップランナーとして建設産業の未来を照らすことも当社の使命。経営の羅針盤として組み込み、世界共通の社会的課題の解決にも寄与していく」と決意を示す。
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おおはし・さとし 1963年生まれ、56歳。明治大学法学部卒業後、大高建設に入社。2000年に代表取締役社長に就任。富山県建設業協会常任理事・入善支部長、富山経済同友会常任幹事、黒部市国際文化センター理事長、立山黒部ジオパーク協会会長代行など、数多くの公職も務める。趣味は食べ歩き。黒部市宇奈月町浦山在住。