名古屋市住宅都市局は7月23日、第3回久屋大通再生有識者懇談会南エリア検討部会を開いた。防災・防犯や自転車の在り方、人と自動車の関係、駐輪場の機能転換をテーマに地元関係者と意見を交換した。久屋大通は「まち歩きのエリア」と位置付け、車の必要性を確保しつつ、来街車両と通過交通を分けてインフラ整備を考えるべきとする意見が提示された。久屋駐車場の機能転換では、地上との連携性を高めるサンクンガーデン化のアイデアも出た。秋ごろにも有識者懇談会を開き南エリアの在り方中間骨子案を取りまとめる考え。その後、同部会で骨子案を踏まえて議論を行う見込み。
中区は昼間人口が常住人口の4倍あり、災害時などで一時帰宅困難者が多数発生する可能性がある。イベントなどを実施する機会が多い久屋大通公園は、広域避難場所でもある。医薬品・備蓄倉庫の機能はハード整備を通じて確保、またはドラッグストアや百貨店などの企業と連携して確保する必要性が指摘された。一方で、公園内に全ての防災機能を盛り込むのは現実的でなく、周辺地域も含めた対策を考えるべきだともした。
一定区域に機能が集中している名古屋駅周辺地区と異なり、栄地区の一部を構成する久屋大通エリアは、自転車利用との融和性が高い。過去の調査では、約1万4000台が栄地区内に駐輪。そのうち55%が通勤目的だという。歩道に駐輪が多いのは、駐輪場収容台数が圧倒的に足りない現状でもある。自転車は時代にかなっている反面、在り方を明確化しないといけないとする意見が大勢を占めた。
栄地区の魅力の一つに自動車で買い物に来やすいという点があり、人と自動車の関係をどう考えるかも再生を考える上でポイント。地区にふさわしい駐車台数を確保するとともに、大規模イベントなどでの対応方法、搬出入車両、通過交通に対する対策を分けて検討していく必要性が指摘された。大通り西側の渋滞対策で一番有用なのが道路のアンダーパス化とみられるが、現交差点のスクランブル化も効果があるとする考えも出た。
久屋駐車場の機能転換では、中日ビル、三越付近の駐車場部の商業フロア化といった意見や、地下・地上間の移動をしやすくするサンクンガーデン化といった考え方が提示された。一方、久屋駐車場が担っている駐車場機能の代替箇所が明確化されていない中、駐車場の機能転換を考えるのはふさわしくなく、荷さばき場の確保などを優先して考えるべきとする意見もあった。
提供:建通新聞社