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北海道建設新聞社
2019/07/23

【東京】都水道局 民間事業者の人材確保・育成を支援

 東京都水道局は、長期的視点に立って本管工事量の増加など事業内容が変化していくことに対応する一方、首都直下地震などの災害の発生にも備え、働き方改革や技術力向上の支援など民間事業者の人材確保・育成に取り組む方針を固めた。水源林を適切に管理するため林道や作業道、単軌道(森レール)といった基盤整備も着実に進めることとしており、ルートの検討や森林の育成状況の把握などには航空レーザー測量などICT技術を活用する。7月22日に開いた事業運営戦略検討会議でこうした同局の考えを示した。
 人材の確保に関しては、水道局と政策連携団体、民間事業者の視点で今後の取り組みの方向を整理。このうち政策連携団体(東京水道サービス、PUC)については、バランスの良い年齢構成に近づけながら、同局からの業務移転の進展に応じて高校生や中途採用を対象とした求人の拡大や、年間を通じた採用を行うなど人材確保を強化する。同局と政策連携団体との人材交流や共同研修などを通じた育成を継続的に行うことで、将来にわたる人材基盤を構築する。
 民間事業者に対しては、労働力人口の減少や管路工事の事業内容の変化、災害時の協力の観点から支援策を講じる。
 同局の事業については今後、供用年数を踏まえた管路の更新により、配水小管の年間事業量が現在の延長約350`から約280`に減少する一方、配水本管の整備は現在の延長約16`が約22`に増加する見通し。しかし、同局の水道施設工事登録事業者(18年度1147者)のうち、過去3年間に配水本管の施工実績を有するのは63者にとどまっている。施工困難箇所に点在する管路工事の増加も見込まれ、首都直下地震などの大規模災害に備えた民間事業者との協力体制の強化も求められている。
 そこで、水道事業を支える重要な“基盤”である民間事業者の人材確保・育成に向け、週休2日制確保や若手・女性の定着に向けた環境整備などの取り組みを推進するとともに、同局の研修施設を活用した実務研修の実施、専門家による経営相談窓口の設置などを検討する。
 水源林の管理については、「水源かん養などの機能を持続的に発揮させる森づくり」を目指すべき方向とし、間伐や枝打ちといった森林整備を着実に実施するとともに、林道や作業道、森レールなどの管理基盤を整備する。その際、ICT技術を活用し、管理基盤の整備に向けたルート検討や、森林の育成状況の情報把握などを効率的に行う。
 また、民有林に関しても、森林を管理しやすい環境を確保するため、水道水源林との一体的な管理も視野に入れ、関係自治体と連携して林道や作業林などの整備を実施することも検討。合わせて新たな民有林保全の仕組みとして、森林経営管理制度を活用して市町村と連携した森林整備を検討する。
 同局ではこの他、今後の環境対策として、低炭素電力の導入や高効率発電設備の導入、生物多様性に配慮した森づくり、水道水源林間伐材の有効活用などを進める考え。このうち低炭素電力については、導入によるCO2の大幅な削減効果が見込まれる一方、入札参加資格者が少ないことによる契約不調のリスクや、現在の電気購入契約と比較したコスト増なども見込まれることから、これらの対策を検討した上で取り組みの可否を判断する。

提供:建通新聞社