東京都建設局は、恩賜上野動物園(台東区上野公園内)の園内を結ぶモノレール「上野懸垂線」の老朽化に対応するため、モノレールに代わる代替システムの導入に向けた検討を開始した。車両を更新するケースも含め、カートやEVバスなどの車両による輸送など複数の案を比較検討し、建設費や維持管理費などを総合的に評価して最も適した代替システムを絞り込む。
上野懸垂線は、動物園内の東園と西園を連絡する路線延長330bの片持ち懸垂支持軌道。ゴムタイヤで走行し、停留所(駅)は東園駅と西園駅の2カ所。23基の橋脚を配置している。1957年に開業した。2001年に導入した4代目となる車両は、全軽合金製2軸ボギー電動懸垂客車で2両連結(定員31人)。車両が老朽化しているため、今年11月に運行を休止する予定。
これを踏まえ都では、老朽化した車両を更新するケースとともに、懸垂線を撤去してその跡地に新たな園路を設け、カートや小型のEVバスなどを走らせる代替システムの導入を比較検討し、動物園の魅力向上にもつながる最も適した案を絞り込むことにした。
代替システムについては、輸送方法や輸送力を考慮しながら、概算建設費や維持管理費などのコストが低く、採算性の高いものを複数案検討。その上で、維持管理費や維持管理の容易性、採算性の観点に話題性も加えて比較検証し、最も適した候補案を絞り込む。
また、車両の更新、代替システムの導入について、動物園の来園者や有識者、関係団体などにアンケート調査も実施し、都民意見を反映しながら事業内容を固める。
検討業務はトーニチコンサルタント(渋谷区)が担当し、年度内に成果をまとめる。
提供:建通新聞社