トップページお知らせ >地方ニュース

お知らせ

地方ニュース

北海道建設新聞社
2019/07/17

【北海道】空調管理技術生かし霊芝の一貫生産 央幸設備工業

 空調・給排水設備の央幸設備工業(本社・札幌)は、持ち前の空調管理技術を生かし、健康食品素材として国内外で注目度の高いマンネンタケ(霊芝)の栽培に取り組んでいる。北広島と美唄に工場を持ち、最近は農林水産省の認証基準「有機JAS」を取得。植菌から微粉末製造に至るまで自社一貫生産体制を構築した。尾北紀靖社長は「今後も代替医療の主役となるよう商品レパートリーを増やし、健康面で困っている人に喜んでもらえるよう努力したい」と話している。

 1968年創業。建設不況を背景にソフトランディング対策(新分野進出)の一つとして、2004年からマンネンタケの培養と栽培の実験を始め、新規バイオ事業部を北広島工場で始めた。

 霊芝はマンネンタケ科に属するキノコ。ベータグルカンなどの成分を含み、アジア圏では漢方や煎じ茶の希少材で古くから珍重されてきた。免疫力を高め健康維持に効果があるとされ、機能性食品などに用いられている。

 同社では空調管理技術を生かし、06年に人工栽培に成功。その後、産業技術総合研究所(産総研)と共同研究を重ね、マンネンタケの免疫有効成分を高度含有する子実体の人工培養方法を確立する。

 栽培には温度と湿度、二酸化炭素、水分の微妙な調整が鍵を握る。そのノウハウは、本業で築き上げた空調設備の施工技術がベースだ。新分野進出から15年ほどが経過しようとしている現在、尾北社長は「央幸設備のバイオ事業として立ち上げ、空調分野で培った自分たちの基盤技術が使えたのが成功の秘訣(ひけつ)となった」と振り返る。

 「中小企業はヒト、モノ、カネで大企業に太刀打ちできない。みんなのやっていることをやっても成功せず、他社が苦手とすることにビジネスチャンスがある」

■国内外の製薬会社向け納入を強化

 事業拡大で北広島の研究所兼工場が手狭になったため、15年には美唄市から廃校となった土地と建物を買い取り、事業推進のため美唄支店[MAP↗]を設置した。マンネンタケの生産だけにとどまらず、地方創生や地域振興、雇用創出などの地元を巻き込んだ活性化が目的。地域経済への貢献を考え、1億円の投資を決断した。