松戸市は、同市最大の都市公園「21世紀の森と広場」(千駄堀)のさらなる魅力向上を目指して、パークマネジメントシステムの構築を目指している。従来の行政主導の事業手法を転換し、積極的に民間活力を導入。市民、NPO、企業と連携しながら公園の整備や管理運営を行う仕組みを構築する。これに伴い、21世紀の森と広場パークマネジメントプラン検討業務を、このほど東洋設計(石川県金沢市諸江町中丁212−1)に委託して開始した。また、今月30日には、短期的な魅力向上策となる遊具等施設の設置に向けて、実施設計業務委託の入札が行われる。
21世紀の森と広場は、1981年1月に面積50・5haの総合公園として都市計画決定し、同6月に事業認可を受け都市公園事業がスタート、93年4月にまず40・14haが開園した。2018年3月までの進捗状況は用地費約262億円、工事費約64億円、用地取得率82・34%で、同4月現在では約99・1%にあたる50・06haがオープンしている。
ゾーン別施設面積は、文化ゾーン9・26ha(文化施設ゾーン2・25ha、つどいの広場4・49ha、みどりの里2・52ha)、レクリエーションゾーン10・1ha(光と風の広場6・40ha、光とこかげの広場2・30ha、野外活動センター1・40ha)、自然ゾーン29・94ha(千駄堀池5・80ha、自然生態園6・21ha、樹林地17・93ha)、サービスゾーン1・2ha(中央口周辺0・59ha、清水サービスヤード0・61ha)。
93年の開園から四半世紀が経過し、社会情勢の変化とともに市民のニーズも多様化。管理運営面で多くの課題を抱えている。
このため昨年7月、本郷谷市長が委嘱・任命し、任期2年で都市公園整備活用推進委員会(田代順孝委員長)を設置。21世紀の森と広場に関わる、@公園の理念と基本方針の検証及び中長期的な管理運営目標の検討A公園にふさわしい新たな遊具の設置の検討B公園内に設置されているカフェテラスなどの便益施設の有効活用を目的とした事業者募集等C樹林地や水辺等自然環境の保全と活用の検討、特に千駄堀池における外来生物対策に関すること―を諮問した。
これを受けて推進委員会は、「パークマネジメント戦略検討部会」「遊び空間検討部会」「サービス水準向上検討部会」「ゾーン別保全方針見直し部会」の4部会を設置し検討に着手。昨年11月には、新たな遊具の設置と、カフェテラスなどの便益施設の有効活用を目的とした事業者募集について市に対して中間答申を行うとともに、パークマネジメント戦略検討部会からはパークマネジメントプランの策定が提案された。
中間答申後すぐに、市はカフェテラスなどの便益施設の事業者募集を行い、カフェテラスの事業者を東京フードサービス、野外生活体験施設の事業者をティ・ワイ開発、里の茶屋の事業者を個人事業主に決定した。管理許可期間は今年4月1日から2022年3月末までの3年間。
また、新たな遊具の設置(遊び空間)に関しては、中長期的に「森あそび」「野良あそび」「水辺あそび」「広場あそび」を促進することとし、短期的な取り組みとして、これらの利用(遊び)のきっかけとなる場を整備するとして、中央口及び五本木口から動線・視線が交差するエリア(図面A)への水遊びする場(既存水路の改修整備)や砂山、泥遊びのできる場、樹を感じられる遊具、見守りの場、子ども用・大人用トイレ、シャワー・手洗い・更衣室の整備、バーベキュー広場と光と風の広場をつなぐエリア(図面B)への遊具(ネット型通路・遊具、スライダー、階段等)の整備が提案された。
これを受けて市は、光と風の広場及び木もれ陽の森の一部、約1haを対象にした遊具等施設実施設計業務を今月30日に開札する入札で委託する。履行期限は20年3月26日。入札予定価格は1090万円、想定目標工事費は3億円(いずれも消費税を除く)。
さらにパークマネジメントプランについては、事務局(市)が委託した検討業務も踏まえてパークマネジメント戦略検討部会が本年度で骨子案などを練り、来年6月の推進委員会の最終答申に盛り込む考え。
基本的な考え方は、@公園の魅力を高めるためのパークマネジメント(魅力アップ計画の理念の踏襲、公園に関わる人材の育成・養成、公平・平等な公園利用の確保)A地域の魅力を高めるためのパークマネジメント(地域活性化につなげる、地域の課題を解決する、災害に強い地域をつくる)B新たなマネジメントシステムの検討(多様な主体が参画できる仕組み、収益拡大・費用対効果の視点、計画の見直し・評価等による継続的な改善)。