神奈川労働局は、県内建設業の働き方改革を支援する「建設業関係労働時間削減推進協議会」(事務局、労働基準部監督課)を設置し、4日に初会合を開いた。建設業関係団体や国、県、政令市などの代表者らが参加。労働時間の削減や休日確保の取り組み状況、課題などについて情報共有し、建設業の労働環境の改善を目指す。
神奈川労働局の吉谷真治労働基準部長は、神奈川県内の労働の実態について「2018年の一般労働者の年間総実労働時間を見ると、建設業は2079時間で全産業平均の1994時間と比べて長く、また年次有給休暇の取得率も建設業は38・5%にとどまり、全産業平均の51・1%と比べて低い状況となっている」と説明。その上で、「建設業の時間外労働の上限規制は24年3月31日まで猶予されているが、この間に実質的な取り組みを進めることが重要。5年後の規制適用をスムーズに迎えられるよう、神奈川労働局としても各種取り組みを推進していきたい」と述べ、参加者らの理解と協力を求めた。
初会合では、国、県、政令市の担当者が、週休2日制モデル工事の試行など、個別の取り組みについて説明。業団体からは、発注者に対する要望などが意見として出された。
国土交通省関東地方整備局の担当者は、「工期の基準は定量的に計れるものではない。いかに休日を確保するか。天候によって労働できない期間を事前に受発注者双方で合意し、必要な期間を見積もることが大事だ」との認識を示した。さらに、「難しい面もあるが、他産業並みに休日を確保することがスタンダードであるということを発注者も理解し、必要なコストは負担すべき」と述べた。
業界団体からは、「発注者側からのさまざまな要請に対応することで、時間外が発生しているとわれわれはみている。協議会で改めてその実態を分析してほしい。また、法改正の趣旨を市町村まで浸透させることが重要だ」などの意見が出た。
この他、作業期間が限定されている学校関係の夏休み工事について「発注時期が遅れれば、着工時期も遅くなる。工事を急がなければならなくなり、毎日の作業時間も長くなる。労働災害防止の観点からも問題。余裕を持った工期の設定が求められる」との指摘もあった。
次回、年末から20年1月ごろに第2回協議会を開き、次年度以降の取り組みについて話し合う予定でいる。
提供:建通新聞社