東京都財務局は「技術者育成モデルJV工事」の試行について、より多くの事業者が入札参加しやすいよう、第2順位企業(都内本店の中小企業)の主任技術者を「45歳以下」とする年齢要件を外すことを決めた。合わせてモデル工事とする案件をできるだけ早く公表し、事業者が入札参加の準備を整えやすくする。2019年度の試行第1弾として、10月上旬に入札手続きを開始する「都立神代高等学校(31)体育館ほか改築及び改修工事」に適用する考えだ。
技術者育成モデルJV工事は、入札契約制度改革に関連して18年度に試行を始めた。JV結成の義務化を撤廃し、混合入札を原則としたことに対し、中小建設業団体などから「JV制度には中小企業のモチベーションアップや技術力の向上に寄与する意義がある」との指摘が多数あった。また、入札監視委員会からも「中小企業の技術研さんの機会の確保と育成効果の検証に取り組むべき」との提言があったことから、都は大企業と都内中小企業とのJVを入札参加条件とする工事をモデル的に行うことを決定。
第1順位企業(代表構成員)を大企業、第2順位企業を都内本店の中小企業とするJV結成を入札参加の条件として設定するとともに、都内中小企業には3カ月以上の直接的・恒常的な雇用関係にある45歳以下の技術者を1人以上配置することを義務付け、初年度は建築工事2件と土木工事2件を発注した。
ただ、この手続きの過程で、対象となる工事の選定・公表から入札契約手続きまでの期間が短く、参加可能な業者の準備が十分に整えられなかったことや、第2順位企業の主任技術者の年齢要件が入札参加の“足かせ”となっていることが判明。そこで、対象工事については、要件を満たす事業者が入札参加の準備を整えやすいよう、できるだけ早い段階で公表することにした。年齢要件に関しては、ベテラン社員が対象工事で得た経験やノウハウを、会社や若手にフィードバックすることで「都内中小企業の技術研さんの機会を創出し、技術力を確保・向上させる」との目的を達成できると判断し、45歳以下の要件を外すことにした。
19年度の試行第1弾となる神代高校体育館ほか改築・改修工事では、鉄筋コンクリート一部鉄骨鉄筋コンクリート造3階建て延べ4962平方bの体育館を新築するとともに、校舎棟の一部を改修する。工事発注規模は16億円以上22億9000万円未満。
提供:建通新聞社