千葉市は5日、特別史跡加曽利貝塚新ガイダンス施設基本計画策定業務委託の公募型プロポーザル選定結果を公表した。最優秀提案者に選ばれたのは丹青社(東京都港区港南1−2−70)で、同社を含め3者が提案を行った。本年度の基本計画で導入機能や施設規模、管理運営方法等について検討し、2020年度の基本設計、21年度の実施設計を経て22〜23年度で施設を建設し、24年度の開館を目指す考え。
同市では、加曽利貝塚(若葉区桜木)の特別史跡指定を受けて、同貝塚の保存活用のための整備を進めることにしているが、その一環として、現在の博物館に代わる新ガイダンス施設を整備する。基本計画の委託期間は20年3月19日まで。委託限度額(消費税を含む)を1200万円としてプロポーザルを実施した。
特別史跡としての指定により、同貝塚の持つ本質的な価値を保存・継承する必要があることから、現在、史跡内にある博物館を史跡外へ移転し、調査研究と地域交流の拠点となる新しい博物館(新ガイダンス施設)を整備する。
新ガイダンス施設の建設予定地は、同貝塚北東の坂月川対岸、モノレール沿いにある小倉浄化センター跡地(若葉区小倉町937−7)で、面積は同跡地及び隣接地を含めて約1ha。市が昨年度策定した特別史跡加曽利貝塚グランドデザインで新博物館エリアとして位置づけ、「縄文文化と貝塚の研究拠点の整備」を方針に掲げている。
想定している整備内容は、加曽利貝塚や縄文文化が学べる施設の整備。最新の調査研究とその成果が発信できる環境や体制の整備。対岸の加曽利貝塚が俯瞰(ふかん)できる展望施設の整備。ミュージアムショップや飲食施設の整備。地域住民が利用できる協働スペースの整備。周辺のアクセス道路の改善。観光バスツアーなどの誘致と団体客に対応できる受け入れ環境、運営体制の整備。
これを踏まえて新ガイダンス施設基本計画の策定では、基本理念や活動方針、事業活動計画、展示計画、管理運営計画、事業計画等について検討するとともに、史跡保存整備委員会やワークショップの運営支援等を行う。
このうち事業活動計画の検討では、他の先進類似施設が実施している事業内容の事例を踏まえ、新ガイダンス施設における具体的な事業活動計画を検討するとともに、遺跡及び市内関連施設(市立郷土博物館、市埋蔵文化財調査センター等)との機能分担・集約についても検討し整理する。
また、展示計画の検討ではテーマ構成やゾーン構成、展示内容について、展示手法や空間演出、動線、配置等を含めて検討するほか、施設計画の検討では遺跡との連携や駐車場整備を含めた敷地全体の利用計画、新ガイダンス施設に必要な諸室構成や規模などを検討。
管理運営計画の検討では、民活導入などの手法を含め、管理運営方式、組織体制及び開館形態(日時、料金等)の方向性、遺跡全体の管理運営のあり方やサポート体制(市民団体、ボランティア団体等)などについて検討する。
グランドデザインの策定は、文化財保存計画協会・オリエンタルコンサルタンツJVが担当した。