神奈川県は、今後4年間に展開する新たな企業誘致策(素案)をまとめた。県外企業と国外企業に限定している補助金の対象を県内再投資(県内の移転、拡張など)にまで広げる。支援対象業種については、ホテルのみとしていた宿泊業に旅館を追加。この他、企業立地の地域の偏りを解消する施策として、対象産業に「地域振興型産業(仮称)」を加える。製造業(食料品、飲料製造業)をその業種とし、横須賀・三浦、県西の両地域でのみ適用する考え。新たな施策の開始は11月の予定。
現行の企業誘致施策「セレクト神奈川100」による立地件数は138件(2016〜18年度)。立地企業の設備投資と、操業における発注実績を合わせた経済的効果は1985億3600万円に達するという。雇用実績は3000人を超える。
県内市町村に対するアンケート調査でも、多くの自治体が県の取り組みを評価していることが分かっている。その一方で、県内再投資への補助金、立地の少ない地域向けのインセンティブを求める声が上がっていた。
そこで、県は今後の誘致施策で県内再投資を補助金の対象に加えることとした。現行の補助金では企業規模に関係なく、上限を5億円(投資額の5%)、特区など利用の場合は上限10億円(投資額の10%)としている。これを新たな施策では、大企業と中小企業に分けて設定。上限5億円は変わらないものの、大企業は投資額の3%、中小企業は6%とする。特区利用の場合も上限額を変更しないが、大企業では投資額の6%、中小企業では投資額の12%する方向。
低利融資については県外、国外、県内再投資などの補助率を一本化する方向で検討中としている。 旅館を対象に加えることになる宿泊業は、横浜・川崎を除く地域で要件を緩和。100室以上としている客室数を30室以上に改めるなどとしている。
また、地域的偏在の解消を目指すことになるのは、横須賀・三浦(横須賀市、鎌倉市、逗子市、三浦市、葉山町)と県西(小田原市、南足柄市、中井町、大井町、松田町、山北町、開成町、箱根町、真鶴町、湯河原町)の両地域。「地域振興型産業(仮称)」として製造業(食料品、飲料製造業)の立地を後押しする。
提供:建通新聞社